中国の新型パスポート問題、「国際世論も懸念」と報道…ベトナム

エマージング・マーケット 東南アジア

23日付のベトナム紙ベトナムプラス電子版などによると、中国が新型IC一般旅券(パスポート)に南シナ海の島々を中国の領土のように記した地図が印刷されていることについて、ベトナムとフィリピンが抗議の声をあげている。

同紙によれば、「国際世論は中国の領有権侵犯をエスカレートさせた行動に懸念を示している」としている。

例えば、英紙フィナンシャルタイムズは、在北京のベトナム高級外交官のコメントを匿名で掲載。「事態を深刻化させる行為だ。なぜなら、中国が発行しているこの新型のパスポートは数百万件に上っており、その有効期間は10年と長い。もし、中国政府が領有権に対する立場を変更すれば、すべてのパスポートを回収しなければならなくなる」などと語ったとしている。

また、フランスAFPも、「フィリピン外務省報道官が、中国のこうした事態を放置すれば、南シナ海全域での中国の主張を認めることになってしまうと発言した」と紹介したという。国際社会だけではない。中国版ツイッターWeibo(微博)上でも、ICパスポートに違法な地図が印刷されていることが人々の往来に影響するのではないかと懸念する声も出ているという。

これより先、ベトナム外務省ルオン・タイン・ギ報道官は、22日に行われた外務省の定例記者会見で、「中国のこうした行為は、ホアンサ諸島およびチュオンサ諸島に対するベトナムの主権への違反だ」と強調。ベトナム外務省の代表者がハノイの中国大使館代表者と会い、ICパスポートに印刷された「間違い」を取り消すよう中国側に求める文書を手渡したことを明らかにした。

中国は、先日カンボジアで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)サミットで、東シナ海の安全保障、国際法の遵守、状況を複雑化させないことなどを呼び掛けた。しかし、新しいパスポートには点線で中国の領土を違法に示す行動に出た。世界のみならず、中国・香港のメディアさえも、こうした不当な地図が印刷されたパスポートにベトナムやフィリピンが反発していると報道し、外交関係者らが心配の声をあげている。しかし、中国メディアはこの問題についてまったく触れていないという。

朝妻 小津枝

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 軽自動車よりも小さい! 15歳から運転できるオペル、約132万円から販売
  3. シートに座ると自動で送風開始、取り付け簡単「クールカーシート」2モデルが発売
  4. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  5. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  6. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  7. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  8. 王者アルファードを超えるか? メルセデスベンツの次世代高級ミニバンに熱視線!「車の域を超えてる」
  9. ブリヂストン史上最長、約13万kmの走行保証…新タイヤ「トランザ エバードライブ」米国発売
  10. 日産が経営再建計画「Re:Nissan」を発表---7工場閉鎖、2万人削減、2026年度黒字化
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る