上海における反日の影響は…中国ルールを逆手にとったローカライズビジネス

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ハーツ、上海における空港送迎、利用のようす。車両はシトロエン C-Triomphe
ハーツ、上海における空港送迎、利用のようす。車両はシトロエン C-Triomphe 全 20 枚 拡大写真

日中関係の緊張が高まり、中国各地でデモや暴動が起こった9月から約2か月が経過した。中国では習近平体制が発足。13億人を超える中国市場に対して、取り組みの姿勢を再考する必要に迫られた日系企業も少なくない。

広州では下火、北京と温度差

11月22日から開催された広州モーターショー12では、日系自動車メーカーの積極的な姿勢が際立った。多くの来場者が日系ブランドのブースに足を運ぶ光景は、表面的には反日感情を感じない盛況ぶりだった。

東風ホンダの水野総経理は、広州モーターショー12のプレスカンファレンス後、一部メディアに対して「日系メーカーの多くが広州に拠点を持っており、広州現地での(日系ブランドに対する)信頼度は高く、影響は少ないようです。日本車の購入意欲についてはさほど変わっていないと感じます」と感想を述べた。さらに「政治の中枢がある北京に比べると、南の広州近隣では、経済と政治を割り切って考える、いわば大人な捉え方をされていると思います」という。

北京と広州の中間、膨張する国際都市上海

広大な面積を持つ中国のなかで、北から北京、上海、広州は3大都市と言われる。今後ビジネスを展開するうえで、これらの都市は依然として主要拠点となる。

地理的に3大都市の中間に位置する上海は国際都市として膨張を続ける。日本人ビジネスマンが上海で活動する際には、安全かつ速やかに移動する必要がある。中国では国際免許が使用できない。タクシーや電車、バスが移動手段となる。

この点に着目したのが米国に本拠を置きレンタカー事業を手がけるハーツ。上海には、虹橋空港と浦東空港の2空港があるが、運転手付きの空港送迎、レンタカーサービスを展開している。

2012年9月には中国ハーツとMKタクシーが業務提携した。ハーツが車両を、MKが運転手を手配し、運転手付きレンタカーサービスの拡充を図っている。

速やかな移動が円滑なビジネスを支える

中国には、国際免許が利用できないことやインターネットのアクセスに制限があるなど、独特の環境がある。この中国ルールを活用したのがハーツの運転手付きレンタカーサービスといえる。

上海・浦東空港の出口には、黄色の看板を持ったハーツのコンシェルジュが待つ。空港の駐車場はコンシェルジュとの合流場所から数百メートルのところにあり、エレベーターで駐車場まで移動する。

エレベーターを降りると、今回は目の前にシトロエン『C-Triomphe』が用意されており、速やかに乗車する。

ハーツレンタカーを利用する際は、事前に予約を行なう。予約時に、当日の行き先予定や利用時間などの大まかなスケジュールを伝達すれば、追ってバウチャーが届く。バウチャーには、利用の詳細が記載されている。コンシェルジュと運転手の電話番号もバウチャーに記載されている。上海での支払いは事前対応のほか、現地におけるカード支払いにも対応している。

ハーツでは、急な変更時にも速やかに運転手が対応した。運転手によれば、ハーツの運転手になるには実務経験などいくつかのハードルがあり、多くの運転手は簡単な英語を理解できるという。

出張などで海外都市を訪問した際、空港から滞在先までタクシーなど一般的な交通手段を利用する場合は、一定の緊張感が伴う。一方、こうしたレンタカーサービスの利用は、空港から滞在先までの移動時間に簡単な仕事をするなど、時間を有効活用することができる点も費用対効果に含まれることになろう。

中国・上海における日中関係緊張の影響は、上海が国際都市であることからも、広州同様下火にあるとみられる。中国は、日本を含め世界のグローバル企業にとって改めて無視できない巨大な存在であることが再確認された格好だ。

国際免許が利用できないといった中国独特のルールを利用し、ビジネスに結びつけるハーツの取り組みは、グローバル企業として中国でサービスをローカライズする好例のひとつと見ることができる。

《レスポンス編集部》

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