【池原照雄の単眼複眼】「守るべからず」のトヨタASEAN戦略

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インドネシアのユドヨノ大統領に面会した豊田章男社長(12年11月10日 トヨタ提供)
インドネシアのユドヨノ大統領に面会した豊田章男社長(12年11月10日 トヨタ提供) 全 6 枚 拡大写真

近い将来、タイの生産は100万台レベルに

トヨタ自動車がASEAN(東南アジア諸国連合)の中核拠点であるタイとインドネシアでの事業強化策を打ち出した。両国では4割近いシェアをもつ強者だが、市場拡大に遅れまいと攻めの姿勢が鮮明だ。この地域の成長力を取り込み、2015年までに世界販売に占める新興国比率(10年=42%)を5割に高めるという経営ビジョンの実現を確実にしていく。

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事業強化策は、豊田章男社長が11月に両国を歴訪して表明した。タイでの生産は「近い将来、年100万台レベルに引き上げる」(豊田社長)方針とした。現地法人のトヨタ・モーター・タイランド(TMT)は、1964年に稼働したサムロン工場をはじめバンコク近郊に3工場を有しており、現在の能力(定時操業時)は年67万台。

ただ、今年の生産は洪水からの復興による内需や輸出の増大により、「能力を大きく上回る88万台」(棚田京一TMT社長)に達する見通しだ。最高だった10年の63万台を大幅に更新、このうちタイでの販売も同年の33万台を上回る50万台(前年比1.7倍)を目標としている。

産業のスソ野育成に誠心誠意取り組む

トヨタは洪水リスクの強烈な印象が残っていた12年1月の時点で、すでに能力増計画を打ち出していた。ASEANにおけるタイの重要性は「いささかも変わらない」(豊田社長)との方針に基づくもので、ゲートウェイ工場内に第2工場の新設を決めた。今年末には休止中だったグループ会社(タイ・オート・ワークス社)での車両組立も再開される予定で、ゲートウェイ第2が稼働する13年半ばに同国での能力は76万台となる。

しかし、残業や休出で頑張っても年100万台に届くには、もう一段の増強が必要だ。その際は、最も新しく07年に稼働したバンポー工場の出番となる。同工場は年22万台の能力だが、まだ敷地は3分の1しか使っていない。製造担当の大矢敏之TMT副社長も「将来は多分この敷地を使うことになる」と、バンポーの能力増を否定しない。

バンコクからジャカルタに飛んだた豊田社長は、インドネシア事業を一体的に推進しているグループ5社のトップとともに、ユドヨノ大統領と面会した。大統領には今後5年間の投資や雇用拡大計画により「自動車産業の裾野育成やインフラづくりに誠心誠意取り組む」決意を表明した。

今年は“ASEAN3”で300万台の市場に

現地生産会社、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(TMMIN)の野波雅裕社長によると、グループの車両工場の能力増や部品の現地調達率の引き上げなどにより、17年までに少なくとも13兆ルピア(約1000億円)を投資、雇用も現在の3万2000人から同年には4万1000人規模にするという。

計画に沿ってTMMINは、カラワン第1工場を年産11万台から13万台に増強、建設中のカラワン第2工場と合わせ、14年初めには25万台の体制を整える。トヨタ車の生産も担当し、インドネシアでは最大の自動車工場を擁すダイハツ工業のアストラ・ダイハツ・モーター(AMD)と合算したキャパシティーは現状の44万台規模から同年には70万台に引き上げられる。

タイの12年の新車需要は、復興需要もあって過去最高の140万台(前年比75%増)規模に達する見込み。同様にインドネシアも110万台(23%増)に届く勢いにある。

ASEANでは3番目のマーケットとして年50万~60万台規模の成熟需要があるマレーシアと合わせると、今年は3か国で300万台を突破しそうだ。“ASEAN3”という、かたまりで捉えるとブラジルやインドといった新興市場にも肩を並べる規模となってきた。

日本勢が9割以上のシェアをもつ地域ではあるものの、欧米や韓国メーカーもこの成長市場に狙いを定めつつある。各国で半世紀ほどの事業経験があり、トヨタには第2のホームマーケットともいえるASEAN。だが、今のところ同社は守りの姿勢を微塵も見せていない。

《池原照雄》

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