今年登場した『SLK 55 AMG』はSLKクラスのトップモデル。その名のとおりAMG製の5.5リットルV8エンジンを搭載。NA(自然吸気)ながら422ps/55.1kg-mの高性能を叩き出す。
そのV8エンジンだが、例によっていかにもAMGらしく、どこまでも精緻なフィーリングで回る。もちろん小柄なSLKには十二分の性能だが、決して過剰さはなく、回転数が高まっても、湿り気のある音質のAMGらしい排気音を伴いつつ、エンジンフィールはあくまでもジェントルなままなのがいい。さらに「C(燃費優先)モード」で走れば、800〜3600rpmの負荷の軽い状態で気筒休止が働き、2、3、5、8番のV8の片側2気筒ずつの計4気筒を休止。その作動は、メーター内の表示とタコメーターの針の僅かな反応を注視していればわかる……といった自然なもの。今や環境対応は、そのクラスのクルマでも必須であるのを改めて実感する。
実感するのは、最新SLKの出来のよさだ。オープン/クローズド問わずしっかりしたボディは、雑味のない乗り味、ハンドリングを実現している。ダッシュボードの“IWC”の時計も、機械式ではないの?の時計マニア的な指摘は置いておき、SLKにマッチした大事なアクセサリーのひとつだ。
いい意味で最新SLとの相似形的なフロントマスク等、先代に較べ案外と抑えの効いたデザイン、スタイリングも好ましい。2座席でも支障がないなら、経験豊富な大人のオーナーがさり気なく乗っていたなら、さぞ絵になるクルマだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。