宇宙放射線とそのリスクを追求 カナダ

宇宙 テクノロジー
Radi-N2
Radi-N2 全 2 枚 拡大写真

宇宙は放射能という観点から見たとき、生活したり働いたりするには過酷な環境だ。

太陽の激烈な嵐や超新星爆発による遠方からの銀河の宇宙光線などのナチュラルな放射線は、国際宇宙ステーションのような長期に渡るスペースミッションを行う宇宙飛行士達に健康上の重大なリスクとなる。

地球の大気圏と磁気圏は保護バブルとして、終わることのない高エネルギー粒子の照射から地球上の生命を守る。ただし、宇宙ステーションがある低周回軌道上では、宇宙飛行士は地球の磁気圏に囚われ突進してくる粒子や、宇宙光線、太陽からの放射線を含む相当量の放射能に絶えず晒される。

将来の数か月や数年を越える長期的ミッションに備え、カナダ宇宙局(CSA)は他の国の宇宙局と共に、放射線対策が最重要な課題であることを認識し、放射線生物学のリサーチに取り組んでいる。

カナダ宇宙局の宇宙飛行士、クリス・ハドフィールドは宇宙ステーションでのミッションの間に、新しい器具を周回軌道上に持ち込み、高エネルギーの中性子の粒子によって起こる最も危険なタイプの放射線を測定し、宇宙飛行士が宇宙飛行中に吸収する量をモニターする。

中性子放射線は宇宙において最も害のある放射線の中の一つで、宇宙ステーションに搭乗している人に照射される全ての放射線の約30%を占める。こういった高エネルギー粒子は医療用のX線のようにデリケートな人体組織をつき抜け、長時間晒されることでDNAを傷つけ、白内障や骨髄のダメージ、または癌などの原因になる。

Radi-N2はカナダの第2世代の放射線モニターで、ハドフィールドとロマン・ロマネンコがこのモニターを使い、宇宙ステーションの放射線レベルを測定する。Radi-N2はバブル・ディテクターを使って、中性子放射線だけを検出する。バブル・ディテクターは20年以上に渡るスペースシャトル・ミッションとMIR宇宙ステーションで使用され、その精度と簡易さでよく利用されるようになった。

CSAの放射線リサーチへのサポートは、未来の宇宙開拓へ大きな前進をもたらすだけでなく、癌や神経学的ダメージ、変性組織病と言った放射線による健康への害に対する知見の蓄積にも貢献するとしている。

《河村兵衛》

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