三菱重工業は、商船三井と共同で、バラスト水処理装置をコンテナ内に収納し、コンテナ船のホールド(船倉)に設置する技術を開発したと発表した。
両社は、同技術の基本設計について、国内で初めて日本海事協会から基本承認を取得。既存船舶にバラスト水処理装置を設置する際、機関室に搭載する手法に比べて大幅な工期短縮を実現する。
コンテナ型バラスト水処理装置は、40フィートコンテナ(長さ約12m)内に、バラスト水処理に必要な機器の多くをパッケージング。限られた空間に収まる効率的な配置としたほか、メンテナンス性にも配慮した設計とした。
同装置をホールドに設置する際の船内工事は、バラスト水を出し入れする配管や電源などの接続工事が主体。事前調査などが簡易となり、船内での工期は約14日と、機関室に設置する場合に比べて7日程度短縮できる。また、外板切断などもないことから、ドック入りも不要で、岸壁での工事が可能。また、機関室に関連機器・配管を搭載するスペースがない船舶向けには極めて有効な方法となる。
両社は、商船三井が保有する8100個積みコンテナ船に、初号装置を搭載して実証運用を行う計画。このため、三菱重工長崎造船所で建造し、2008年に引き渡した「MOL COMPETENCE」に、今年春頃をめどにバラスト水処理能力750立方メートル/hの装置を設置するための詳細設計作業に着手している。
貨物の積荷役にあわせて排出されるバラスト水は、海洋生物を越境移動させ、海洋生態系および生物多様性の保全に対して影響を与える恐れがあり、1980年代後半から国際的に問題視されるようになっている。これを受けてIMO(国際海事機関)では2004年2月にバラスト水管理条約が採択され、発効に向けて批准が進んでいる。