NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は1月24日、洋上風力発電についての説明会を開いた。その席上、同機構の支援によって、三菱重工業が世界初となるデジタル制御の油圧ドライブトレインを採用した大型風力発電設備を開発したと発表した。
このデジタル制御の油圧ドライブトレインは、ブレードの回転速度を発電機の回転速度に増速する動力伝達機構として、これまでのギア式増速機に代わる画期的な機構で、数多くの利点があるという。例えば、大型化のネックとなっていた増速機やインバーターが不要で、高い効率性と信頼性が実現できる。また、汎用性の高い油圧機器や材料、比較的低廉な同期発電機などで構成されるため、コスト競争力に優れているのだ。
「風力発電で一番のキーテクノロジーはドライブトレインなんです。大きくなればなるほど、そこへの負荷も大きくなるわけです。それが、このドライブトレインが開発されたことによって、翼がこれまでの2倍の80mでも可能になりました」と同機構新エネルギー部の伊藤正治主任研究員は話す。
海外企業が未だ実現していない7000kWクラスの風車を作ることが可能になった。「現在、風車を載せて、実際の風の中で油圧ドライブトレインの動きを確認している状況です」と伊藤主任研究員。
NEDOと三菱重工業はこの成果を踏まえ、7000kWの新型洋上風力発電設備の開発を加速させ、本年中に英国において陸上実証機の据え付け・運転を開始する。そして、新型洋上風車量産機を2015年に市場投入していく計画だ。