【BMW 5シリーズ 試乗】ワゴンボディに経済性に優れたクリーンディーゼルを搭載…松下宏

試乗記 輸入車
BMW5シリーズ
BMW5シリーズ 全 12 枚 拡大写真

BMW『5シリーズ』のツーリングは2010年9月に発売された後、改良を重ね、更に2012年8月にディーゼルエンジンを搭載する523dブルーパフォーマンスを追加した。

7シリーズと基本プラットホームを共用するようになった現行5シリーズは、そのためにボディサイズがかなり大きい。エンジンのダウンサイジングは始まったが、ボディもダウンサイジングする時代がくるのかどうか。

ホイールベースも2970mmと相当に長い。駆動方式がFRである上、インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(前後輪統合制御ステアリングシステム)と呼ぶいわゆる4WSシステムが採用されていて、低速では後輪が逆位相に切れるので小回り性能には優れている。

この4WSは高速走行時には同位相に操舵(そうだ)して効果を発揮し、レーンチェンジのときの収まりがとても良い。低速での逆位相に違和感を持つ人も、高速での同位相は知らずのうちに安定性が高められている。

ツーリングの大きなラゲッジスペースは、バックドアのガラスハッチだけを開けることができ、小さな荷物の出し入れに便利。また後席も4:2:4の3分割タイプになっているので、乗員と荷物の量に応じて自在な使い勝手を発揮する。

今回試乗したのはディーゼル車だが、523iや528iに搭載される直列4気筒のガソリンエンジンもターボ仕様によって低速域から十分なトルクを発生することが走りの魅力につながっている。

523dの搭載エンジンも直列4気筒2.0リットルのDOHCで、コモンレール方式を採用したインタークーラー付きターボ仕様のクリーンディーゼルだ。BMWは尿素水などを使うことなくクリーンなディーゼルに仕上げている。その分ユーザーのメンテナンスの負担が少なくなる。

エンジンがかかった状態のアイドリング音を車外で聞くと、ガソリン車とは違うなという印象を受ける。ただ、いかにもディーゼル車といった感じの騒音ではなく、ガソリンとはちょっと違うなという程度だ。車内に乗っていたらディーゼルであることに気付かないくらいに静かで、防音対策がしっかり施されているのが分かる。

走りはとても気持ち良い。低速域から太いトルクを発生し、最大トルクは4.0リッターエンジン並みの380N・mを発生するから、軽くアクセルを踏み込むだけでスムーズに走っていく。

しかもアクセルを踏み込めば、アクセルワークに素直に反応してスムーズに回転が上昇していくので、気持ち良くパワーも伸びていく。ディーゼルでもとても吹き上がりが良く、区間加速はガソリン車よりも速いくらいのイメージだ。

電子制御8速ATのスムーズさは改めて書くまでもないだろう。幅広いギア比をカバーする8速ATの効果もあって燃費は16.6km/リットルと優れた数値を得ている。市街地などではほとんど8速には入らないが、高速クルージングの燃費と静粛性が良くなる。

試乗車はMスポーツパッケージ装着車で、標準車より1インチ大きい18インチタイヤが装着されていた。足回りも専用のスポーツサスペンションとなるので、かなりしっかりした感じの乗り味を示していた。

5シリーズのツーリングに限らず、BMWのMスポーツは硬すぎるチューニングが施されていた時代もあったが、最近は乗り心地にも配慮した感じになっていて、路面の悪いところ走っても妙なゴツゴツ感はない。

Mスポーツパッケージにはスポーツシートなどほかにもいろいろな仕様がセットされているが、価格も高くなるので選ぶかどうかは予算と好みによることになる。

ちなみに車両本体価格はセダンより30万円高い663万円の設定である。ツーリングの使い勝手とクリーンディーゼルの経済性の高さは、クルマを本気で使うユーザーにとって適した仕様である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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