【メルセデスベンツ Aクラス 試乗】ソフトとしての可能性に魅力を感じる…山崎元裕

試乗記 輸入車
メルセデスベンツ・A 180 BlueEFFICIENCY スポーツ
メルセデスベンツ・A 180 BlueEFFICIENCY スポーツ 全 12 枚 拡大写真

第3世代への進化にあたり、ドラスティックにそのスタイルを変化させた、メルセデスベンツ『Aクラス』。

これまでの実用的なトールボックススタイルから一転、ダイナミックに流れるサイドのキャラクターラインに象徴されるように、よりスポーティーで刺激的なハッチバックボディーを採用したことで、新型Aクラスは、BMW『1シリーズ』、アウディ『A3スポーツバック』、あるいはこちらも前作から商品コンセプトを大幅にチェンジした、ボルボ『V40』など、強力なライバルモデルが待つ市場へと新たに参入することになったのだ。

いつの時代もエントリーモデルとして注目される存在のコンパクト・ハッチバックだが、そこにメルセデスベンツというブランドから新作が投入されたことは、それだけでも大きな衝撃だろう。このクルマを買ったら自分のライフスタイルはどのように変わるだろうか。結論から先に書いてしまうのならば、新型Aクラスは、そのエクステリアやインテリアのフィニッシュを見るだけで、そのような夢を描くことのできるクルマだ。

ハードとしてのパフォーマンスやユーティリティよりも、むしろこのクルマが持つ、ソフトとしての可能性にこそ魅力を感じる。誰と乗るのか、どこへ行くのか、何をするのか。試乗中にそれをイメージする時間は、本当に楽しかった。

まずはA180ブルーエフィシエンシー、A180ブルーエフィシエンシースポーツ、そしてA250シュポルトの3モデル体制で、セールスがスタートする日本仕様の新型Aクラスだが、今回試乗したのはA180の両モデル。

エンジンはいずれも122ps仕様の1.6L直列4気筒ターボで、これに7速DCTを組み合わせ、前輪を駆動するというパワートレーンは両車ともに共通。スポーツでは、車高がさらに15mmローダウンされる専用のスポーツサスペンションやブレーキシステムが採用されるほか、タイヤも標準モデルの17インチから18インチへとサイズアップ。FFスポーツとしての走りの魅力は、このチューニングによってさらなる高みへと導かれている。前で触れた、新型Aクラスで何をするのかという目的に、走りがあるのならば、ベストチョイスはもちろんこのスポーツということになるだろう。

後席の居住性には、正直なところさほど大きな期待はできないし、またヘッドレスト一体型シートを後席にも採用したことや、リアウインドウをコンパクトなサイズとしたこともあり、後方視界にも若干の制約を受ける新型Aクラスだが、その不満を解消するために、メルセデスベンツは伝統のトールスタイルを継承した『Bクラス』を用意する。

今後はさらに、4ドアクーペの『CLA』や、コンパクトSUVの『GLA』、さらにもうひとつのモデルがこの新世代FFファミリーには誕生する計画だ。またAクラスには、究極のトップモデルとして、FF車用に新開発された4MATICを組み合わせた、『A45AMG』も近く誕生するという。これもまた、何とも夢のある話ではないか。

5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

山崎元裕|モータージャーナリスト
日本のスーパーカー研究における第一人者であり、ニックネームは「スーパーカー超王」、もしくは単に「超王」。自動車雑誌編集部を経て、自らスーパーカーを入手するためにフリーへ転身。特にランボルギーニ、ブガッティ、マクラーレンF1等に関する研究に秀でている。世界中のモーターショーを飛び回り、数多くの自動車雑誌においてスーパーカーに関する執筆を担当している。

《山崎元裕》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  2. 「強烈な需要がありそう」スバルの3列シートSUV『アセント』が今、SNSで話題に
  3. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  4. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  5. 軽EV市場に新顔登場、ホンダ『N-ONE e:』と競合する車種
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
ランキングをもっと見る