【ダイハツ ムーヴ 試乗】スマートアシストが軽自動車の安全性を飛躍的に高めた…青山尚暉

試乗記 国産車
ダイハツ・ムーヴ カスタムRS
ダイハツ・ムーヴ カスタムRS 全 13 枚 拡大写真

ビッグチェンジを受けた新型『ムーブ』のカスタムは、いわばダイハツ軽のフラッグシップモデルだ。

標準車同様、NAモデルには「ぶつからない軽」と呼んでいい、軽自動車初の衝突回避支援システム=「スマートアシスト」装着車が設定される。1月20日までの受注では全体の約6割のユーザーがスマートアシスト装着車を選んでいるというから、関心度は極めて高いと言えるだろう。軽自動車にこそよりハイレベルな安全性能を!というのがダイハツの考え方でもある。

そんなスマートアシストはスバルの「アイサイト」を手本に開発されたもの。価格を抑えるためアイサイトのステレオカメラ方式とは違うレーダーレーザー方式を採用している。

人身事故の約30%、物損事故の約20%が追突事故で、その約60%が30km/h以下の事故であるというデータから、約20km/h以下で緊急ブレーキを作動させ、約30km/h以下での被害低減を目指したものだ。

さらにスマートアシストには駐車場などでのアクセル/ブレーキの踏み間違いによる「誤発進制御」、信号待ち、渋滞時などで先行車が発進するとブザーで教えてくれる「先行車お知らせ機能」も盛り込まれ、設定車には横滑り防止装置のVSC+TRCも装備される。

こうした安全装備がOPではなく、設定車として用意されている点は大いに評価できるだろう。OPだとなかなか手を伸ばしにくいわけで…。

ところで、カスタムのみに設定されるターボモデル=ターボRSはJC08モード燃費25.2km/リットルと、『ワゴンR』ターボの26.8km/リットルを超えるには至らなかった。ただ、走らせれば操安性、乗り心地で進化しており、その点でワゴンRターボをリードしていることは明らかだった。

走行性能に関してNAモデルほどの大規模な変更は行われていないものの、足回りはブッシュ類、ダンパーの減衰力をリファイン。「RSの乗り心地は硬い」というRSユーザーの声に応え、乗り心地方向に振ったチューニングが行われている。結果的にハイト系モデル最上の走りの良さ、乗り心地の良さ、大人っぽさが味わえるツアラーモデルへと進化。一家に一台のファーストカーとしても十分に使えるのがムーブカスタムのRSである。

ムーブカスタムは愛犬を乗せるにも適している。荷室開口高はワゴンRよりずっと低く、中大型犬なら無理なく飛び乗れる高さ。後席を格納すれば大型犬でもゆったりとくつろげるフラットスペースが出現し、室内高にも余裕があるため大型クレートの積載も可能。これで後席がワゴンRのように左右分割でスライドしてくれたら使い勝手としては言うことなしである。

もちろん、後席への乗車もほぼ直角まで開くドア、シート座面の低さによって容易だ。今回のビッグMCで乗り心地、静粛性はさらに良くなっているから、どこかにつかまれない、聴覚のいい愛犬もより安心快適にドライブが楽しめると思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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