【シトロエン C5 試乗】たゆたうような油圧サスペンションの乗り心地…松下宏

試乗記 輸入車
シトロエンC5
シトロエンC5 全 10 枚 拡大写真

シトロエン『C5』の現行モデルは2代目で、日本では2008年10月から販売されている。当初はV型6気筒3.0リッター+6速ATと直列4気筒2.0リッター+4速ATの組み合わせを搭載していた。

2010年2月のマイナーチェンジで1.6リッターのダウンサイジング直噴ターボ仕様エンジン+新世代の6速ATを搭載した。更に2012年10月に新デザインのダブルシェブロンを採用するなどの改良を実施した。

2012年の改良はフェイスリフトのみで、シトロエンのロゴであるダブルシェブロンが新しくなって角が取れた滑らかな形に変わったほか、アルミホイールのデザインが変更されている。メカニズム部分については特に変更を受けていない。

ふだん自分のクルマとして現行C5の初期モデルに乗っているので、最新のC5との違いを確認するために改めて試乗した。

初期モデルにはV型6気筒3.0リッターエンジンが搭載されていて、最新モデルは1.6リッターの直噴ターボ仕様のみの設定だ。1.6リッター直噴ターボの発生する115kW/240Nmの動力性能は、C5のボディに対して十分なもので、走りに不満を感じるシーンはない。

V型6気筒の3.0リッターエンジンの動力性能は155kW/290N・mに達していたから、走りの余裕という点ではやはりV6に分がある。6気筒らしい吹き上がりの滑らかさ、あるいは静粛性の高さといった点でも優位に立つ面がある。

ただ、かつてのV型6気筒と最新の直列4気筒搭載車とでは、車両重量に100kgほどの違いがある。この分も含めて考えるとV6と直4の動力性能の差はほとんど帳消しになるような感じだ。

走りの滑らかさとなると最新の直4搭載車の方が優位に立つ。というのも電子制御6速ATが最新の仕様に進化しているからだ。変速制御が一段と滑らかなものになり、快適な走りを実現する。

快適性という点では、今ではシトロエン車で唯一となってしまった油圧サスペンションもポイントになる。「ハイドラクティブIIIプラス」のたゆたうような乗り心地は、何ともいえないものがある。この足回りを手に入れるためにだけでもC5を買う意味は十分にある。

スポーツモードを選択するとやや硬めの味付けになるが、C5では常時オートモードで走っていれば良いと思う。それがC5らしさであるからだ。

ほかにもステアリングのセンターバッドが固定式であることなど、そしてステアリングの操舵(そうだ)フィールに特徴があることなど、シトロエンならではの部分は初期モデルでも最新のモデルでも変わらない。油圧系の微妙な振動がステアリングに伝わることも同様だ。

試乗したセダクションは399万円、本革パワーシートなどを装備した上級グレードのエクスクルーシブでも449万円という価格は、このクラスのクルマとして十分な価格競争力があるといえる。

ディーラーの店舗数が少ないので、アフターサービスを受けやすいかどうかがポイントになったりするが、ほかのどのクルマにもない個性的な高級車としての魅力がC5にはある。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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