【マセラティ グラントゥーリズモ スポーツ MCシフト 試乗】五感を魅了する高性能クーペ…島崎七生人
試乗記
輸入車

が、当然ながら、走らせた際の手応えはひとしおだ。とくに90度V8の4.7リットルエンジンの存在感は、これでもかと実感させられる。カタログ数値は460hp/53.0kgmだが、あくまで理詰めなドイツ製スポーツカーなどとは対照的。低速から湧き上がる分厚いトルク、漲るパワーは、短時間だけ走らせただけでも思い知らされる。そして何といっても、エンジン回転の上昇に伴って室内に届く情感に溢れたエンジンの“生音”の素晴らしさといったら! たとえシングルクラッチのいわゆるセミATが場面により多少ラフにも感じようと、最高速度300km/h、0-100km/h加速4.7秒の実力はたいしたものだというほかない。
サスペンションのみならず“全身”で路面からのフィードバックを受け止め、いなして走っているような、マセラティらしい乗り味も変わらない。低めのポジションの室内空間はアルカンターラのトリムを始め、クラス感を実感させてくれる設えになっている。まさに車名どおり、思いのままにどこまでも走りを堪能させてくれるであろう、魅惑のマシンそのものだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。