【VW クロスポロ 試乗】明快な個性を表現した内外装と硬めの乗り心地…松下宏

試乗記 輸入車
VW・クロスポロ
VW・クロスポロ 全 16 枚 拡大写真

『クロスポロ』はコンパクトカーの『ポロ』をベースにSUV感覚のドレスアップを施したモデル。2010年6月に発売された現行モデルは2代目に当たる。

クロスポロはポロに比べると最低地上高が145mmに設定されている。ベース車より15mm高いものの国産のコンパクトカーだったら当たり前の数値。また駆動方式はFFだけの設定だから、悪路を走るためのクルマというよりも、SUV風のファッションをまとったクルマと考えるべきクルマである。

テーマカラーのマグマオレンジを始めとする専用のボディカラーがインテリアカラーとコーディネートされるほか、内外装に様々な専用仕様を用意している。

外観は、アンダーガード風のデザイン処理を施した前後バンパーを始め、ホイールハウス・エクステンション、サイドスカート、シルバーのルーフレール、シルバーのドアミラー、17インチタイヤ&アルミホイールなどが標準車と異なる部分だ。

内装もシートやドアトリムにマグマオレンジのファブリックが使われている。これはほかのボディカラーにはないマグマオレンジだけの設定だ。また本革巻きのステアリングホイールやシフトノブ、パーキングブレーキレバーなどが標準車との相違点となる。

デザインと専用のボディカラーによって、街を走ってもちょっと目立つのがクロスポロ。今回は箱根での試乗だったが、発売当初に六本木周辺で試乗したときにはけっこう注目を浴びたのを覚えている。

パワートレーンは1.2リッターのTSIシングルチャージエンジンと7速DSGの組み合わせで、これはポロの標準車や『ザ・ビートル』、『ゴルフ』など、フォルクスワーゲンのコンパクトカーに幅広く搭載されているものだ。

動力性能は77kW/175N・mを発生する。1.8リッターエンジン並みの最大トルクをわずか1550回転で発生する設定だから、低速域から力強い走りが得られる。ポロに比べたらわずかに重くなるが、それでも車両重量は1130kgにとどまるので、十分に余裕のある動力性能である。

7速DSGは低速域では多少のギクシャク感を残すものの、全体としてはスムーズな変速が可能。パドルシフトは装備されないが、積極的なレバー操作によってマニュアル車感覚の走りを楽しむことができる。

足回りはちょっと硬めの印象だった。ベースのポロもしっかりした感じがあって安定感の高い硬めの足回りを持つが、クロスポロの足回りはそれ以上に硬めという印象を受けた。

これは最低地上高を高めたのに対応して安定性を確保するために硬めのチューニングが施されたことや、あるいは標準のポロより大きい17インチタイヤを履くことなどが影響しているのだと思う。

平らな路面を走っているときには良いが、路面が荒れたところなどではゴツゴツ感が感じられ、縦揺れも多少大きく感じられたのも気になった。またステアリングのフィールに少しばかり鈍さが感じられたのも、シャシーのセッティングの違いによるものだろう。

クロスポロの価格は260万円で、ポロTSIコンフォートラインが242万円であるのに比べると18万円高の設定。いろいろな専用の仕様が用意されることを考えると、この価格差はリーズナブル。ほかの人とはちょっと違うポロに乗りたい人向けにお勧めできるクルマだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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