【メルセデスベンツ Sクラス 試乗】熟成の進んだ最終モデルに魅力あり…松下宏

試乗記 輸入車
メルセデス・ベンツSクラス
メルセデス・ベンツSクラス 全 12 枚 拡大写真

メルセデス・ベンツSクラスの現行モデルは日本では2005年10月に発売された。2013年秋にはフルモデルチェンジが予定されているので、現在(2013年前半)販売されているのは最も熟成が進んだ最終モデルである。

メルセデス・ベンツに限らず、欧州車では最終モデルが最も魅力的という人も案外多く、あえて最終モデルをねらう人もいる。特に今回は次期モデルのボディがさらに大きくなると言われるだけに、最後のナロー(?)Sクラスになるかもしれない。なので改めてメルセデスベンツ『Sクラス』に試乗した。

次期モデルはともかく、現行Sクラスもメルセデスベンツのフラッグシップサルーンにふさわしく堂々たるサイズのボディを持つ。全長は5mを大きく超えて5130mmに達し、全幅もナロー(?)とはいえ1870mmというサイズだ。

サイズの割に小回りが利くのがメルセデスベンツ車の良いところ。このサイズのボディで最小回転半径が5.8mというのは、けっこう良い数値である。もちろん絶対的には十分に大きな最小回転半径なので、日本の道路交通環境の中では特に扱いやすいわけではない。

外観デザインはマイナーチェンジによって進化していて、LEDドライビングライトを採用するなど、現行モデルがデビューした当初とは見た目も変わった印象がある。

インテリアのクォリティはさすがにメルセデスベンツだ。本革や木目パネルなどの自然素材が使われ、入念な作り込みがなされているので、正に高級車に乗っているという実感が持てる。しかもボディサイズの余裕から室内空間が広く、前席はもちろん後席にも大人がゆったり座れる広さがある。

試乗車はベースグレードのS350でも価格は1085万円もするのだから、インテリア回りの質感の高さ、ラグジュアリーさなどは当然のことと考えるべきだろう。

センターコンソールにシフトレバーはなく、ステアリングの裏側にあるレバーで操作し、ギアチェンジが必要な場合にはやはりステアリングの裏側にあるパドルで操作する仕組み。メルセデス・ベンツは最近のAクラスにもこの方式を採用しており、全車に採用する方針のようだ。

搭載されるV型6気筒3.5リッターエンジンは225kW/370Nmのパワー&トルクを発生する。S350はベースグレードだが、動力性能の面で不満を感じることはない。むしろ2トンに近いSクラスの重量に対しても余裕が感じられるほどだ。走り出しはとても静かで滑らか、かつアクセルを踏み込めばそれなりに力強い加速性能を見せる。

走りの滑らかさには7Gトロニック+も貢献していて、滑らかさだけでなく静粛性の高さも正に高級車のものだ。

最新仕様のエンジンには直噴技術やECOスタート/ストップ機構(アイドリングストップ機構)などが採用されていて、カタログ燃費はリッター当たり12.4kmとなる。Sクラスではハイブリッドよりもガソリン車のほうが燃費が良いのだ。

S350も安全装備の充実度は高く、衝突を回避する自動ブレーキを含めたレーダーセーフティ・パッケージなどが標準装備される。オプションはナイトビューとパークトロニックくらいで、試乗車には本革シートや電動サンルーフなどととにもパークトロニックもセットにしたラグジュアリーパッケージが装着されていた。

このため試乗車の価格は1150万円弱だった。決して安い買い物ではないが、このクラスのクルマを買えるユーザーにとっては納得モノの価格だろう。熟成を究めた最終モデルだけに、より納得できるものになる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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