【スズキ アルト 改良新型】なぜ「Sマーク」の位置が変わった? コストと空力、「親しみやすさ」へのデザインの最適解とは

スズキ アルト 改良新型(上)と従来型(下)のフロントバンパー
スズキ アルト 改良新型(上)と従来型(下)のフロントバンパー全 17 枚

2025年6月に改良された、軽自動車の代表格スズキ『アルト』は、ボディ剛性の向上、燃費性能の改善など、多岐にわたる改良が施され、フルモデルチェンジ級のビッグマイナーチェンジとなった。そのデザインについても手が加えられ、エアロダイナミクスの向上も図られているという。

新型アルトのデザインは何が変わったのか。そしてそのねらいとは。担当デザイナーに直撃した。

◆「Sマーク」の位置と法規対応

スズキアルトの開発責任者である竹中秀昭さん(左)とデザインを担当した岩﨑宏正さん(右)

もともとのアルトのデザインコンセプト「気軽・安心・愛着」はそのままに、「ベーシックなスタイルによって誰もが気軽に安心してお乗りいただける、親しみやすいデザインを目指しました」とデザインを担当したスズキの岩﨑宏正さんは話す。

開発にあたって、企画側からは「フロントにある一文字のメッキの部分を変えて欲しい」という要望があった。その目的は見た目のリフレッシュだけでなく、法規対応のために先進安全技術(デュアルセンサーブレーキサポートII)用のミリ波レーダーをグリル内に搭載する必要があったためだ。

このため、従来型と比べグリルの存在感がしっかりとあるデザインからスタートしたというが、そこで課題となったのが「フロントフェイス中央にあったSマークをどうするか」。これを解決するため、「最近ではやってなかった」というボンネット側に移動させた。

スズキ アルト 改良新型

これはアルトだけでなく、兄弟車である『ラパン』『ラパンLC』でも共通で、「それぞれ顔が違う3車のデザインを成立させるというお題があったんです」と開発責任者の竹中秀昭さんは打ち明ける。開発コストと価格への転嫁を抑えるためだ。

「さすがにこのミリ波レーダーの下にSマークを置くわけにはいかないですし、なしというわけにもいきません。そこで少し小さくして、それをボンネットの曲率に合わせて新しく作ったんです」(竹中さん)

◆フロントバンパー、リアスポイラー、リアバンパーの形状

スズキ アルト 改良新型

今回の改良の目玉のひとつとなっているのが燃費の向上だ。ガソリン・ハイブリッド軽自動車クラスNo.1の燃費28.2km/リットルを実現している。これに大きく貢献したのが「空力性能」だ。「とにかく改良前より良くしてくれといわれていました」と岩﨑さん。

そこで空力チームにどうすればさらに良くなるか分析してもらった。しかし、「もともとクルマの素性が良すぎて良い塩梅のところが見つかりませんでした」と苦戦。それでも、「フロントバンパーにあったオーバルの溝をなくせば、空気の剥離が少しスムーズになることが分かりました」。

また、リアスポイラーも空力では重要だ。「最初は解析から始めて、その後、ラフなモデルを空力チームが作って風洞にかけながら、長さと角度をちょっとずつチューニングしていきました」という。

スズキ アルト 改良新型(上)と従来型(下)のリアバンパー

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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