この『5008』、プジョー・シトロエン・ジャポンによれば、「便宜上はミニバン」だそう。しかし便宜上どころか、想像以上に実に生真面目なクルマ（＝ミニバン）だ……というのが第一印象だった。
何といってもプレーンなスタイルがいい。ランプやグリルやサイドのプレスラインに奇をてらわなくていいから大人のミニバンを選びたい……そんなユーザーには歓迎だろう。とはいえ、アクセサリーのような気の利いたテールランプのデザインなど、決して退屈させないデザインなのは、プジョーのセンスだ。
インテリアでは運転席まわりが注目だ。同乗者の視線で、ここに座るドライバーがカッコよく見えそうな“粋な”コクピットのデザインになっている。ただの移動手段、道具の概念を超えたスタイリッシュな運転席、とくにコンソールやシフトレバー回りの高品位な仕上がりが嬉しい。
嬉しいのは2，3列目シートの出来もそう。2列目は3座が同じ440ミリ幅で各々スライドも可能。当然であるべきしっかりした座り心地になっている。3列目はさすがにスペースは最小限ながら、コチラもちゃんと人が座れる椅子に。3列目シートの格納は（畳む際は赤いストラップが目印……とわかりやすい）重過ぎず軽過ぎない力加減で操作できるのも安心。
走りもしっかりしている。乗り心地は高速道路の速度域に入ると俄然、フラットでスムースなものに。1.6リットルの直噴ガソリンエンジン＋6速ATも実用的で、必要なら「S」モードを活用することで、各ギヤでより息の長い加速と快活なレスポンスが味わえる。
■5つ星評価
パッケージング：★★★★★
インテリア/居住性：★★★★★
パワーソース：★★★★
フットワーク：★★★★★
オススメ度：★★★★★
島崎七生人｜AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
