やばい。欲しい。『Aクラス』の感想は、まずこれである。
デザイン一新。これまでの家族臭ぷんぷんで、しかも足のペダル位置がやたら高くて(衝突安全性という意義はあるとしても)違和感いっぱいだったAクラスから一転。このスタイル、この顔つき、この乗り心地。これはもう、Aクラスから、AAクラスと名前を変えてもらいたいくらいだ。
低くかまえたフロントマスク。その精悍なフォルムをそのまま走りにしたような、前のめりな走り。実感させてくれるのは、7G-DCTである。ATモードのまま走っていても、シフトチェンジが速度に合わせて決まる心地よさはたまらない。特にに気持ちがいいのは、ブレーキングのときである。自動でさくさくとシフトダウンしてエンジンブレーキがきいていく様は、まさに胸をすく。上がるエンジン回転数とエキゾーストノートの音程の変化が胸をくすぐってくれるのだ。クルマを動かしている、というより「駆っている」感がひしひしである。
メルセデスならではの小回りのよさ。そして、車庫入れのときにDとPをいったりきたりするときも、ハンドルわきにつけられたシフトレバーをささっと触るだけで可能。ハンドルからいちいち手を離さなくってもできるって、なんて使いやすいのだろうか。今年は、このコンパクトクラスが輸入車の激戦区になりそうだが、まずはAクラスが弾丸スタートダッシュを決めた感がありありである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。