日産自動車の鈴木伸典・車体技術開発部長は3月12日、横浜市の本社で記者会見し、高い成形性をもった超高張力鋼板(高成形性超ハイテン)を今年から順次実用化する計画を発表した。
このハイテン材は、強度が1.2GPa(ギガパスカル)級ともっとも高レベルにありながら、加工性も高いため車体での用途が広がる。日産は今年から北米で発売するインフィニティのセダン『Q50』のフロントやリヤピラー、サイドシルの一部などに採用した。この種の超ハイテンの実用化は世界初という。
Q50の超ハイテン比率は車体重量比ベースで9%となっているが、鈴木部長は「2017年以降は、25%に引き上げたモデルを順次展開する」方針を示した。車体として現状より15%の軽量化につながる。ハイテン材のうち、高成形性超ハイテンの比率は明らかにしていない。
ただ、同ハイテン材は板厚が薄いため、「コストは同等強度レベルのハイテンよりは確実に安くなる」とし、高級車に限らず「ダットサンブランドも含めて世界の全モデルに展開する」計画だ。この超ハイテンは日産と新日鉄住金、神戸製鋼所が2008年から共同開発を進め、11年に技術発表していた。