【クラウン ハイブリッド 試乗】ワインディングや高速でのスタビリティは十分…諸星陽一

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トヨタ クラウン ハイブリッド
トヨタ クラウン ハイブリッド 全 6 枚 拡大写真

1月に行われた新型『クラウン』の試乗会では、ハイブリッドモデルのナンバーが取得されておらず、富士スピードウエイの構内のみでの試乗となっていたが、今回一般公道での試乗の機会を得たので再度レポートしたい。

試乗会場となったのは愛知県のトヨタ本社がある周辺。一般道、ワインディング、高速道路が入り交じったシチュエーションでの試乗となった。

まず最初に触れておきたいのが、富士スピードウエイでの試乗時に感じた微妙な振動だが、これは消し去られていた。どういった処理で消えたのかは言及できなかったが、非常に快適な乗り心地になっていたのは事実だ。

システムを起動してセレクトレバーをDに入れる。パーキングブレーキの解除は、従来のコラム下レバーを引くタイプではなく、もう一度ペダルを押し込んで行う。アクセルペダルを軽く踏み込む。ショックのない発進は以前に書いたとおりでじつに快適。ただし少しアクセルを踏みすぎるとトルクが大きい分、グイッとシートに押しつけられる感覚が強くなってしまう。

高速道路で100km/hの定常走行に入ると、じつに安定した走りを見せてくれる。風切り音も少なく、静粛性は高いレベルだ。クルーズンコントロールのスイッチを入れてしまえば、右足は緊張感から解放されリラックスした状態でのクルージングが可能だ。車間設定が行えるレーダー・クルーズコントロールなので、先行車への追従走行が楽なほか、急な割り込みが行われてもしっかり減速して追突を防いでくれる。

アスリートのハイブリッドで100km/h巡航しているときに気づいたのだが、新型クラウンは先行車にかなり圧迫感を与えるらしく、第2走行レーンを走行中でも先行車が車線を譲ることが多かった。一度抜いてしまうと、同じクルマが後ろに付き、今度は追い越し車線から私の運転しているクラウンを抜いて、いなくなってしまうことが何度もあった。きっと「なんかコワイ、一度ゆずろう」という心理が働くのだろう。実際自分で運転していても、ほかの試乗車が後ろに着くと、あの顔つきはかなり圧迫感のあるものに感じられる。

ワインディングではなかなかの俊敏さとスタビリティの高さを味わえた。ボディが大きいのにもかかわらず、ヒラリヒラリと身を翻すようなハンドリングを持つ。また高速道路の出口ランプで、かなり長く回り込みながら横Gが高まるシチュエーションがあったのだが、そうした場面での安定感も高く感心させられた。クラウン・イコール・トヨタのフニャ足という方程式はもはや存在してない。前回★が3つだったが、今回は4つに改めたい。

今回、短い時間だが後席に乗って移動するという貴重な体験もした。後席もサイドサポートがしっかりある形状で、乗り込むとすっぽりとそこに身体が収まってしまう。落ち着き感はバツグンで、すぐに睡魔が襲ってくる。しかし、このすっぽりとした形状のシートと高く幅も広いセンタートンネルのせいで、5人乗りはかなり窮屈。クラウンは定員は5名だが完全に4人乗りのクルマだ。後席に3名ならカムリのほうがよっぽど快適だ。

クラウンは初代が1955年デビューという長い歴史を持ち、日本の高級車をけん引してきたクルマだけに、そのイメージはかたまっている。クラウンにはつねに「若々しくない」という運命を背負っている。しかしトヨタは、それをブレークスルーするためにクルマ作りからマーケティングまですべてを変えてきている。唯一、変えないのは“クラウン”というネーミングだ。思い切って名前を捨て、新しい名前で再出発したほうが、ユーザーの若返りにもつながるだろう。しかし、それをせずに、ブランドを守るところにトヨタの意地と意気込みがある。

パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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