【マセラティ クアトロポルテ スポーツGT S 試乗】スポーツモードで狼に変身…松下宏

試乗記 輸入車
マセラティ・クワトロポルテ
マセラティ・クワトロポルテ 全 19 枚 拡大写真
マセラティの高級セダンである『クアトロポルテ』は、日本で発売されたのが2004年5月。改良を重ねながら生産が続けられてきたが、2013年のデトロイトショーで次期モデルが発表され、日本でも2013年4月には新型車が発売される予定になった。最終モデルの試乗車に乗った。

2012年秋に公開された「最強のふたり」というヒット映画を見た人なら、その中でクアトロポルテがとても重要な役割で登場したのを覚えているだろう。エンジンを始動させた瞬間にブォーンと空吹かしが入り、主人公がわぁ~お、と驚くあのシーンだ。

この空吹かしによって、さあ運転しようという気分にさせられる。ただ、その音が大きいので、駐車場の立地を選ぶクルマでもある。

全長が5mを超える堂々たる外観デザインは、ピニンファリーナの手によるもの。カッコ良いかどうかは微妙な部分もあるが、ほかのどの高級車にも似ていない個性的なデザインであり、独特の存在感が表現されている。

搭載エンジンはV型8気筒4.7リッターの自然吸気DOHCで6速ATと組み合わされている。試乗車は上級グレードである「スポーツGT S」の「アワードエディション」だったので、よりパワフルな仕様のエンジンが搭載されていた。

大きめボディのため車両重量も2トンを超えるが、このエンジンの実力なら重量は問題にならない。323kW/490N・mのパワー&トルクは余裕十分といった感じで、軽くアクセルを踏み込むだけで、重量級のボディを力強く押し出していく。

高速クルージングに入れば時速100kmを2000回転ほどでこなすから、高級車らしい静かな走りを実現する。

クワトロポルテがその走りを一変させるのは、インパネに設けられたスポーツボタンを押したときだ。スポーツモードが選択されると、動力性能を向上させると同時にエンジンサウンドや排気音も大きく盛り上がってくる。

低速域では腹に響くような低音が、高回転域では抜けるようなエグゾーストノートが聞こえてきて、豪快な走りのフィールが動力性能からだけでなくサウンドからも味わえる。

インテリアは高級車らしいラグジュアリーな雰囲気と、スポーツカーらしさとを合わせ持つ。シートがその典型でしっかりホールドして体を支えるスポーツシートながら、座り心地も快適なものだ。

大柄なボディを持つので後席の居住空間も十分(サイズの割には狭いが)なものがあるほか、トランク容量もたっぷりと確保されている。

試乗したアワードエディションは50台限定の最終の特別仕様車で、専用色や専用装備をいろいろと備え、1850万円の価格が設定されている。


■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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