日産『フレンド・ミー』は2リッターのハイブリッドパワートレインを持つ4座セダンのコンセプトカー。ブースの中心の一段高いステージに展示されていた。
ステーションワゴンのようにテールゲイトが大きく開くようにも見えるが、開かれるところを見なかった。すべてのピラーをブラックアウトし、ウインドウのラインは直線主体でシャープな印象を残しているのとは対照的にボディサイドに抑揚の強い凹凸面を形作っている。
ルーフが小さなプロポーションは個性的で、クルマ全体としても新鮮な造形だ。任日産グローバルデザインセンターのリーダーシップのもとに2011年に設立された日産デザインチャイナがデザインした。
面白いのはデザインだけではなく、想定とするユーザー像だ。「これまでの価値観に囚われていない、クルマと自由に付きあおうとしている“80后(バーリンホウ)”と呼ばれる若者たちを軸にした層に訴求したい」(フランソワ・ベーコン 日産商品戦略&アドバンストプランニングゼネラルマネージャー)。
これまではドライバーだけに独占されていた運転情報が共有化され、4つの座席からもアクセスできるようになり、調整が許されていた操作も可能となった。具体的には、ナビゲーションやエンターテインメント、空調などのコントロールが各自独自に行うことができる。
日産に限らないが、各社ともにバーリンホウには注目している。1980年代生まれの現在25歳から35歳に掛けての層に向けてどうアプローチしたらよいのか。そのコンセプトワークに余念がない。なぜならば、それらの層には2億4000万人以上もの人々がひしめいているからだ。
「80后の若者たちは豊かで自由な中国しか知らない。消費にも旺盛で、目も肥えているから、親たちの世代とは異なったクルマ選びをするはずだ」(上海に拠点を置くアメリカ企業関係者)
フレンド・ミーコンセプトはその造形だけでなく、コンセプトとそこに込められた戦略が非常に興味深かった。