【フォード フォーカス 試乗】パワーのハンデをシャシーで取り返す、そんなフォードを待っている…森口将之

試乗記 輸入車
フォード・フォーカス
フォード・フォーカス 全 6 枚 拡大写真

デザインはもう少しすっきりしてほしいと思うし、293万円という価格はCセグメントの輸入車としては高めじゃないの?という気もする。でもこれまで体験したヨーロッパ・フォードの例に漏れず、乗るといい。

歴代『フォーカス』のハンドリングは高く評価されてきたけれど、今回も例外ではなかった。しかも乗り心地まで快適。4本の足がしっとり動いてショックをいなす。新採用のデュアルクラッチ・トランスミッションや電動パワーステアリングの感触は自然だし、トルクベクタリングも違和感なし。運動性能ならクラストップじゃないだろうか。

クーペのように流れるようなフォルムなのに、室内はむしろ広々している点もいい。初代からこういうフォルムを取り入れてきたので、手慣れているのだろう。今年になって、同じCセグメントに2つのプレミアムブランドが新型車を送り込んだけれど、フォーカスのほうがはるかにまっとうなクルマ作りをしている。

ただ今回発売したグレードは、ライバルと横並びで見られることを意識し過ぎた感あり。スポーティな輸入車、プレミアムな輸入車は掃いて捨てるほどある。もっとインパクトのあるラインナップを用意したほうが目立つのでは?

僕のまわりの輸入車好きは、フツーの欧州人が乗っているベーシックな仕様が買えないことを残念に思っている。フォードこそ、そういうモデルが似合うブランドであるはず。今はMTがプチトレンドだし、ぜひ欧州にある1リットル3気筒ターボを!パワーのハンデをシャシーで取り返す。そんなフォードを待っている人、僕だけじゃないはずだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|自動車ジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得意としており、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。一方で趣味としての乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。試乗以外でも海外に足を運び、現地の交通事情や都市景観、環境対策などを取材。二輪車や自転車にも乗り、公共交通機関を積極的に使うことで、モビリティ全体におけるクルマのあるべき姿を探求している。日本自動車ジャーナリスト協会、日仏メディア交流協会、日本デザイン機構、各会員。著作に「パリ流 環境社会への挑戦(鹿島出版会)」など。

《森口将之》

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