細かい話はいろいろあるけれど、興味が集中するであろうハイブリッドの「IS300h」の気になる部分について述べたい。
まずトランクについては、ガソリン車と比べて左右のタイヤハウス後方の形状が異なるものの、容量にあまり大差はない。現行『IS』よりも広く、ゴルフバッグ3個が入る容量が確保されているというからヨシとしたい。分割可倒リアシートが採用されたのも便利だろう。
走ると、6気筒のガソリン車に対して音質がよろしくないのは否めないが、静粛性は十分に高いので、それほど気にならない。
動力性能は、「300」という数字が与えられたとおり、ガソリンのIS250以上ではあるが、IS350との中間点というよりも、IS250のプラスアルファという印象。
また、同様のハイブリッドシステムを搭載する車両で、これまで高回転域でCVTのようにエンジン回転が先に上がり、加速が遅れてついてくる感覚があったところをリニアにしたとのことで、期待していたのだが、いくぶんそうなっていたものの、思ったほどではなかった。むしろ、そこにいたるまでの低い回転域で、踏み込んでもレスポンスが遅れることが相変わらず気になり、そちらを改善するほうが大事だと思うのだが、おそらくそれは動力分割機構を持つ同システムの宿命なのだろう。
ブレーキについては、クラウンハイブリッドが出て間もないタイミングながら、早くも改善されていた。応答遅れもなく、コントロールしやすく、ペダルタッチの剛性感もあり、より自然なフィーリングになっていた。これで低速で扱いやすければ文句なしだ。
運転する楽しさと上質感を上手く併せ持っているところはなかなかのもの。フットワークは、ガソリン車を含む全ISの中で、Fスポーツ系よりもハイブリッドの18インチ仕様の“バージョンL”がもっとも印象が良かった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍やカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級サルーンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、あくまでユーザー目線に立った視点を大切に、読者の方々にとって少しでも参考になる情報を提供できるよう心がけている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。