魚沼を走る多種多彩な車両たち…上越線越後湯沢~六日町間[写真蔵]

鉄道 企業動向
越後湯沢駅で発車を待つ特急「はくたか」(中央)。車両は北越急行所属の681系2000番台「スノーラビット」。その脇には上越線普通列車の115系(左)、ほくほく線普通列車のHK100形(右)の姿も見える。
越後湯沢駅で発車を待つ特急「はくたか」(中央)。車両は北越急行所属の681系2000番台「スノーラビット」。その脇には上越線普通列車の115系(左)、ほくほく線普通列車のHK100形(右)の姿も見える。 全 7 枚 拡大写真

現在の上越線は特急列車がほとんど運転されていない、普通列車中心の鉄道路線だ。とくに新潟県側は車両の種類も少なく、やや単調といえる。しかし、「魚沼コシヒカリ」の生産地として知られる越後湯沢~六日町間に限ってみると、車両の種類は意外と多い。

上越線は群馬県高崎市の高崎駅から北上し、新潟県長岡市の宮内駅までの162.6kmを結ぶJRの在来線だ。かつては東京と新潟を結ぶ特急列車や急行列車も多数運転されていたが、1982年に開業した上越新幹線に都市間輸送の機能を譲り、普通列車主体の路線となった。

1997年3月22日、上越線六日町駅(南魚沼市)と信越本線犀潟駅(上越市)を結ぶ北越急行ほくほく線が開業すると、その状況に変化が生じた。ほくほく線を経由して北陸方面に向かう特急「はくたか」が運転を開始したためだ。

ほくほく線開業前の東京~北陸間の鉄道ルートは、上越新幹線で長岡駅に向かい、ここで北陸方面に向かう在来線特急に乗り換えるのが一般的だった。これに対し、ほくほく線は新潟県南部の山岳地帯を長大トンネルで北陸方面に短絡するルートを取っており、長岡経由より距離が短くなる。

こうして上越新幹線と北陸方面をほくほく線経由で連絡する特急列車が運転されることになったが、ほくほく線と上越新幹線を直接連絡する駅は存在しない。そこで、六日町駅から新幹線併設駅の越後湯沢駅まで、上越線に乗り入れて運転することになった。わずか17.6kmだが、上越線が再び都市間輸送の機能を持つことになった。

おかげで越後湯沢~六日町間は車両の種類も増えた。現在の特急「はくたか」は、最高速度160km/h(ほくほく線内のみ)の運転に対応した681系と683系が使用されている。両車ともJR西日本所属車と北越急行所属車が存在し、その塗装も異なる。

上越線に乗り入れているのは「はくたか」だけではない。ほくほく線の普通列車も越後湯沢駅まで乗り入れている。こちらは北越急行所属のHK100形のみ使用されているが、現在のHK100形はオリジナル塗装と新塗装、さらにはシアタートレイン「ゆめぞら」「ゆめぞらII」が存在し、塗装のほか車体の形状にも違いが見られる。

このほか、1970年代後半から上越線の普通列車で運用されている115系も健在だ。ほくほく線開業前の上越線が「単調」だったのは、この115系ばかりだったからだが、実は115系のなかにも複数の塗装があり、さらには製造当初から新潟に配置されていた車両と首都圏などから新潟に転属してきた車両では仕様に若干の違いが見られるなど、やはり多種多彩な存在といえる。

北陸新幹線の長野~金沢間が2015年春に開業すると、東京~北陸間の主要ルートは北陸新幹線にシフトするため、「はくたか」の廃止が見込まれている。HK100形の上越線乗り入れは今後も続くと思われるが、定期特急列車としての681系と683系を上越線で見ることができる期間は残りわずかといえるだろう。

《草町義和》

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