新型レクサス『IS』にはさまざまな安全装備が用意されている。
レーダーによる周辺監視や歩行者との衝突時に衝撃を和らげるポップアップフード、ナビによる逆走注意案内などの安全装備が装備されている。そのなかでも注目のプリクラッシュセーフティの試乗が行えたので報告しておく。
トヨタの自動ブレーキシステムは完全停止しないので、「止まる」という表現をしていない。しかし、現実的には「止まる」といって問題ないことが、試乗を通してわかった。
試乗は特別に設けられたコースで先行車に見立てたクルマのダミーに向かって、追突を再現するというもの。まずはマイナス2m/s(0.2G程度)の軽い減速度がおきるように、ブレーキペダルに足を乗せながらダミーに向かっていく。限界までダミーに近づいたと思った瞬間に、強い減速Gが発生してクルマがほぼ停止状態となる。このときブレーキペダルが吸い込まれていくような感覚が右足に伝わる。
多くのプリクラッシュセーフティシステムは、ドライバーがブレーキペダルを踏んでいると、止まろうという意志があると判断して、強いブレーキを掛けることを行わないが、このプリクラッシュシステムは、ドライバーがブレーキを踏んでいても、危険と判断すればブレーキを掛けてくれる。
さらに同様の状況でまったくブレーキを操作せずにダミーに突っ込んでいくと、今度も強いブレーキでほぼ停止状態まで減速する。どちらの場合も最初にアラームとディスプレイでドライバーにブレーキを踏むことを促してからの作動となる。
完全には止まらないが、そうした状況になればさすがに焦ってブレーキを強く踏み、結局最後にはドライバーの意志で完全停止となるので、かなりの確率で安全は確保できるはず。このシステムは60km/hまででの作動となるが、追突事故の90%は60km/hまでの低速で発生しているという。つまり、ほとんどの追突事故をこのシステムで回避できるというわけだ。
このプリクラッシュセーフティシステムは全車にオプションで設定。価格は6万3000円で、これを装備するとクルーズコントロールがブレーキ制御付きのレーダークルーズコントロールに変わる。