【池原照雄の単眼複眼】走るホンダ、大量リコールも何のその!?

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ホンダ・N BOX カスタム G特別仕様車 ターボSSパッケージ
ホンダ・N BOX カスタム G特別仕様車 ターボSSパッケージ 全 4 枚 拡大写真

販売したNシリーズのほぼ全量が対象に

ホンダが2011年末から投入してきた軽自動車の新シリーズ約38万台をリコールした。昨年来の国内販売の躍進を支えてきた軽だけに、今後の影響が懸念されるが、目白押しの新モデルによって、このアクシデントも乗り越えられると、首脳陣は強気だ。

リコールの対象は、『N BOX』と『N-ONE』シリーズの計5車種。軽市場での「ホンダ復活」をもたらした新鋭モデルだが、今年4月から5月にかけて対策を講じるまでに生産・販売された車両すべてが対象となった。CVT(無段変速装置)の油圧制御プログラムが不適切なため、シフト操作後のアクセル操作によっては「ドライブプーリーシャフト」というエンジン側の回転軸が破損する可能性があるという。

対策ではプログラムの書き換えを行い、さらに同シャフトに基準値以上の負荷がかかっていた場合はプログラムの書き換えとCVT全体の交換を行う。ホンダ広報部によると、プログラムの書き換えやシャフトへの負荷の確認作業は1時間程度で可能という。CVTの載せ換えという事態は少ないと思われるが、現時点でその比率がどの程度となるのかは不明としている。

史上3番目の国内販売82万5000台に挑む

リコールによってホンダの品質に対する信頼が大きく損なわれることはないだろうが、問題はディーラー各社の営業活動への影響だ。リコールは自動車メーカーが実施するものであり、個々のユーザーへの通知もディーラーでなく、ホンダが行う。このため、ディーラーでは整備部門には負荷がかかるが、営業部門はさほどではないというのがホンダ広報部の説明。ただ実際には、お得意さんに迷惑をかけるわけだから、営業担当が「われ関知せず」とはいかないだろう。

ホンダの2013年度の4輪車国内販売(グループ販売ベース)計画は、前年度を19%上回る82万5000台。これは01年度、02年度に次いで史上3番目に多い数字であり、国内の総市場が減少する見込みのなか、ホンダの販売はピークレベルを目指しているのだ。

計画の見直しは必要ないと峯川専務

20日には『アコード』のハイブリッドとPHV(プラグインハイブリッド)モデルを発表。秋には登録車で最量販モデルの『フィット』の新型車、さらに好調の軽も「N」シリーズの第4弾が投入される。国内営業担当の峯川尚専務執行役員に18日、リコールに伴う今年度の国内販売への影響について聴くとキッパリ答えた―「今の時点で計画見直しの必要性は感じていません」。

年度前半はモデル末期となっているフィットの落ち込みを軽自動車やアコードハイブリッドでカバーし、秋からの全面攻勢につなげようというのがホンダの戦略だ。大きなリコールの発生にも今のところ、その目算に狂いはないと見ている。

今年1~5月の実績で見ると、ホンダの国内販売のうち軽自動車比率は58%に達した。昨年11月にN-ONEが加わったことで前年同期の37%から一気に上昇している。峯川専務は今年度通年の比率について「半々くらいだが、年度後半に強い商品が出てくるため、むしろ登録車が強含みの比率になるのでは」と見ている。モデルミックスとしても極度の軽依存から脱し、高付加価値型商品も含めたバランスが取れるとの見立てだ。

《池原照雄》

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