昨年12月、広島県東広島市内の国道で、大型トレーラーに積載されていた鉄板が対向車を直撃。2人を死亡させたとして、自動車運転過失致死などの罪に問われていた35歳の男に対する判決公判が21日、広島地裁で開かれた。裁判所は禁錮刑と罰金支払いを命じている。
問題の事故は2012年12月25日の午前11時ごろ発生している。東広島市河内町入野付近の国道432号(片側1車線の緩やかなカーブ)を走行していた大型トレーラーの荷台に積載されていた鉄板15枚(1枚あたり約800kg。直径3m、幅1.5m、厚さ2cm)が荷崩れを起こし、対向車線側へ落下。直後に対向車線を順走してきた乗用車を直撃した。
この事故で乗用車に乗っていた男性2人が死亡。荷台に積載されていた鉄板は全部で25枚だが、中央部のみが1本のワイヤーロープで固定されていた。警察はトレーラーを運転していた34歳(当時)の男を自動車運転過失傷害の現行犯で逮捕。検察は後に自動車運転過失致死などの罪で起訴している。
21日に開かれた判決公判で広島地裁の岡崎忠之裁判官は「被告はわずかな手間を惜しみ、ワイヤーロープ1本で鉄板を固定していた」と認定。「手間を惜しみさえしなければ事故を未然に防ぐことは容易だった」と指摘した。
その上で裁判官は「被告の過失は非常に大きく、厳しい避難を免れることはできない」として、被告に対して禁錮3年6か月、罰金50万円の実刑判決を言い渡している。