NASA月大気・塵探査機 LADEE(ラディ)打ち上げは9月6日予定…日本での月面観測も呼びかけ

宇宙 科学
エイムズリサーチセンター出開発中のLADEE探査機
エイムズリサーチセンター出開発中のLADEE探査機 全 2 枚 拡大写真

7月10日、オービタルサイエンシズ社は、NASAワロップス飛行施設からミノタウロスVロケットの初飛行となるNASA月大気・塵探査機『LADEE』(ラディ)の打ち上げウインドウは2013年9月6~10日、打ち上げ予定日は9月6日であると発表した。

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LADEEは、NASAエイムズリサーチセンターが開発した、月を周回し月の大気と塵の観測を行う小型探査機。低コスト、短期間で開発できる小型科学衛星バスを採用し、160日間とごく短期間のミッションを行う。30日間は月への飛行、30日間は搭載観測機器の調整、100日間が観測期間となる。

月に大気はないとされてきたが、最近の研究でナトリウムやカリウムを含む大気が存在することが判明してきたという。地球の大気が1立方センチメートルあたり10の19乗個の分子が存在するのに対し、月の大気では同じ1立方センチメートルあたり100万個以下の分子しかない。密度でいえば国際宇宙ステーションが周回する地球低軌道とのごく希薄な大気だ。

月の大気は、太陽風が月の表面にあたって表面の物質が気体化したもの、彗星や小惑星の衝突によって拡散した物質、月内部の物質が気体として放出されたものなどが考えられるという。大気の分子の運動も月と地球では大きく異なり、地球で起きる分子同士の衝突は月ではほとんど起きず、静電輸送や重力で運動している。こうしたごく薄く、分子の衝突がないタイプの大気は「接地境界外気圏」と呼ばれ、月だけではなく水星や大きな小惑星、惑星の衛星、カイパーベルト天体では一般的だ。

LADEEミッションでは、月の大気の密度や組成、隕石の衝突によるこれまでの月の大気の変化を解明することを目標にしている。また、地球のアマチュア天文家、科学館などに呼び掛けてLADEEミッション期間中の100日間に月で起きる小天体衝突の光「月面衝突閃光」を観測する「LIMEプロジェクト」呼び掛けており、日本でもプロジェクト参加者を募集している。

ミノタウロスVは、ミノタウロスIVロケットの発展系となる低コスト5段ロケット。静止トランスファ軌道に532キログラムまでの衛星を打ち上げることができ、月探査ミッションにも対応している。LADEE探査機が初打ち上げのペイロードとなる。

《秋山 文野》

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