【日産 シーマ 試乗】静かで滑らかかつ力強い高級車の走り…松下宏

試乗記 国産車
日産・シーマ
日産・シーマ 全 17 枚 拡大写真

『シーマ』は一時、日産のラインナップから姿を消していたが、『フーガハイブリッド』をベースにホイールベースを延長したモデルとして復活した。アメリカや中国のインフィニティチャンネルで販売されるM35hLの日本版右ハンドル車でもある。

シーマを見ると、外観塗装の見栄えの良さが際立っている。シーマは生産ラインの途中でラインから外し、手作業で水磨きを施した上でもう一度ラインに戻すという手間のかかる工程を経て作られている。それが見栄えの良さに端的に表れている。

付け加えるなら、シーマは完成後の検査も1台ずつ検査員が試乗して入念な確認をした上で出荷されている。これもシーマだけの特筆すべきポイントだ。

運転席に乗り込んでドアを閉めるとしんとした静さに包まれる。外部の音が遮断される感じになって静かな空間が生まれるのだ。この静かさは走り出しても変わらない。するすると滑るように静か走り出し、アクセルを踏み込めばとても力強い走りを実現する。アクセルをラフに操作しても、それをいなして滑らかな走りを実現するのが良い。

フーガハイブリッドでは意地悪テストのような感じで急なアクセル操作をすると、ショックが生じてクルマがギクシャクした動きを示すシーンもあったが、シーマにはそれが全くなかった。基本は同じでもシーマの完成度は格段に高いレベルにある。

カタログ燃費はリッター16.6kmでフーガハイブリッドと同じ。ボディの延長でシーマの車両重量は60kgほど重くなっているが、カタログ燃費の表示には影響を与えていない。

日産の最高級車となるシーマの価格は最上級グレードのVIP Gで840万円の設定。いずれにしても簡単に買えるクルマではないものの、LSやSクラスなどのハイブリッドに比べると、格段に割安なクルマでもある。もちろん車格も装備もクルマの中身も大きく異なるので、単純な比較にはならないが、シーマの割安感が際立つ印象だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 新世代MINI『クーパー』と『エースマン』に全身ブラックの「モノクローム」登場
  2. 新型アウディ『Q3』のインテリアを公開、「コラム式シフト」と新デジタルコックピットが目玉に
  3. 「鈴鹿8耐」最注目のヤマハ車は完全新作の『YZF-R9』! 150万円を切るなら「ブレイクの予感」しかない
  4. もしも「タイプ992」が初代911をオマージュした世界線だったら…? ウクライナのデザイナーが再解釈
  5. 日産『リーフ』新型発売にスタンバイ、家庭用充電器や太陽光パネル設置支援、米国でサービス開始へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  4. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る