【池原照雄の単眼複眼】新車統計…RVはもういいでしょう

自動車 ニューモデル 新型車
レガシィ ツーリングワゴン
レガシィ ツーリングワゴン 全 2 枚 拡大写真

今や“死語”のジャンルなのに

新聞や経済誌などの自動車担当の記者諸氏で、「RV」という単語にピンと来る方はどれだけいるだろう? 「レクリエーショナル・ビークル」という車両のジャンルの略なのだが、今や死語と言ってもいい。自動車販売業界団体の日本自動車販売協会連合会(自販連)がホームページの統計コーナーで毎月公開しているデータには、RVは今なお健在だ。一方で、すでに新車販売の大きなウェートを占めるに至ったハイブリッド車(HV)のデータは見当たらないのである。

RVという表現が自動車業界で定着したのは1980年代の終わりごろだった。セダンが主流できた日本のモータリゼーションも、80年代半ばの成熟化とともに車種の多様化が始まった。つまりステーションワゴンやオフロード4駆車が、ぐいぐいと伸びてきたのである。前者の代表が富士重工業(スバル)の『レガシィ』だったし、後者は三菱自動車工業の『パジェロ』シリーズであり、いつしかRVと呼ばれるようになった。

HVやEVの統計がない不思議

まだ「ミニバン」という表現はなく、今ではそのジャンルに入る「1BOXワゴン」もRVに区分けされた。ステーションワゴンは多人数で荷物もたっぷり積めるので旅行に最適。また、オフロード車は悪路走行などに打ってつけであり、いずれもレクリエーション向けのクルマということでRVというくくりができたのである。

自販連が毎月の新車統計で、RVの集計を始めたのは80年代の終わりか90年代初めだったと記憶している。当時は随分タイムリーで、さすが業界の一翼を担う団体だなと思ったことも記憶している。

それだけに、HVあるいは電気自動車(EV)といった日本の自動車メーカーが切り拓いている新ジャンルの統計に、これほど後手に回っているのが不思議なのである。自販連の会員、つまり自動車ディーラー向けにはこれらのきちんとした統計があって提供しているのかもしれない。

2団体のデータ統合も進めるべき

仮にそうだとするなら、日本の基幹産業の販売・流通部門を担う団体として、統計データは広くタイムリーに社会に提供するべきであろう。自動車販売データに関し、取材者として不便だと思うのはこれだけではない。登録車と軽自動車という日本独特の区割りによって販売団体も自販連と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)という2頭立てになっていることから生じる不便さである。

毎月初めには前月の販売速報が両団体から発表される。すると新車販売全体の統計を作るには、2つのデータを電卓で、はじくしかないのである。担当記者諸氏の月初のルーチンワークであろう。その後、両団体の合計データだけはそれぞれのホームページから見ることはできるようになるのだが、タイムラグがある。

前月に新車がどれだけ売れたかという重要な経済指標が、いまだに業界の事情で2本立てというのは、いかがなものでしょう? 自販連の守川正博会長(ネッツトヨタ栃木会長)、全軽自協の松村一会長(全国スズキ会連合会副会長)、何とか善処方を、お願い申し上げる次第です。

《池原照雄》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ…注目ニュースベスト5 2025年上期
  2. 取り付け約10秒、カーメイトが『カローラクロス』『メルセデスベンツ』各車純正ミラー専用設計の「ワイドリアビューミラー」を発売
  3. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ...ワイド&ローのフォルムに注目だ!
  4. エアレスタイヤ搭載でペダルもなし、免許不要の特定小型原付「Future smart」発売
  5. 日産『マイクラ』新型は約450万円から、EVに生まれ変わる6代目、9月に英国受注開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る