【フィット プロトタイプ】野中研究所副社長、アコードよりはるかに工数かけたHV制御
自動車 ニューモデル
新型車

新HVシステムをホンダは「i-DCD」と呼んでいる。DCDは「デュアル・クラッチ・ドライブ」の略であり、1モーターと1.5リットルエンジンの動力を7速のデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)と組み合わせて制御する。DCTはギア(歯車)とクラッチを組み合わせた自動変速機であり、近年、ダイレクト感のある走りと省燃費を両立する変速機として評価が高まっている。
新型フィットの市販予定プロトタイプについてはガソリン車も含め、このほどホンダのテストコースで試乗する機会があった。HVは燃費性能だけでなく滑らかでパワーもしっかりの走り、さらに静粛性のいずれも現行モデルをはるかに凌駕したという実感だ。DCTはともすれば、変速時にガタつきが出やすいが、フィットHVでは変速機の作動やHVモードの切り替えも極めてスムーズに運ぶという印象である。
本田技術研究所の4輪車開発トップである野中俊彦副社長は、「(動力源としてエンジンとともに)モーターを使うことでDCTのギクシャク感を抑制することができた」と解説する。つまり、回転数やトルクの変動が柔軟なモーターが、変速ショックを吸収するというわけだ。言い換えればHVであることで、DCTの良さが引き出されている。もっともHVシステムとしての制御プログラムの開発には多くの時間を要したそうで、野中副社長は最近登場したアコードHVの制御開発よりも「はるかに工数をかけた」と話している。
《池原照雄》