高精度衛星測位サービス利用促進協議会、ワーキンググループが促進する位置情報アプリ開発

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海外展開WG座長を務めるNTTデータ磯尚樹 e-コミュニティ事業部課長
海外展開WG座長を務めるNTTデータ磯尚樹 e-コミュニティ事業部課長 全 4 枚 拡大写真

7月26日、国内で実用準天頂衛星システムの普及促進を行う「高精度衛星測位サービス利用促進協議会QBIC」の設立総会が開催された。今年11月から政府に向けて位置情報利用の環境整備に取り組む4つのワーキンググループ(WG)を紹介する。

『海外展開』WGでは、アジア太平洋地域への海外展開を検討する。座長はNTTデータ磯尚樹氏。

準天頂衛星システム(QZSS)の強みは、GPS受信機だけで利用できること、衛星から端末へ簡易メッセージを送信する機能を国境を越えて利用できること。たとえばインドネシアやタイなど赤道に近い地域では準天頂衛星が1機でも一日を通じて利用できる。先にこうした地域で実証を進め、サービス拡大を図ることも検討する。また、QZSSと同様の簡易メッセージ機能を推進している欧州とサービスの相互連携を図ることも検討する。

『利用環境』WGでは、測位情報の可視化や必要な法規制を検討する。座長は富士通 青木尋子氏。

検討項目に優先順位をつけ、まずは受信機端末の整備やユーザーインターフェイス仕様の整備をいそぎ進める。また、測位信号のジャミングや偽装などの対策にあたり、信号の脆弱性に対する調査が必要としている。日本の位置情報利用に関するポータルとなる適切な情報提供窓口が必要という。

『標準化』WG では、QZSSの国際標準化、規格化、共通化などを検討する。座長はセイコーエプソン 林正明氏。すでに準天頂衛星の仕様を定めた「QZS IF」が発行されておりある程度の標準化はなされている。大規模な開発力を持つ企業でなくても、準天頂システムアプリケーション開発のためのプラットフォームを構築し、コンテンツ、端末、アプリケーションが開発できるよう体制を整える。

世の中に転がっている位置情報アプリ開発インターフェイスをひとまとめに利用できるようにし、「救急車接近するとカーナビに救急車の接近警告が表示される」、「視覚障害者が利用できる道路工事に係る安全情報」といった多様なアプリケーション創出の準備を整える。

『社会実証準備』WGでは、企業のQZSS利用促進を後押しする実験の検討を行う。座長は衛星測位利用推進センター (SPAC)の松岡繁氏。2018年4月のQZSSサービス開始までにまでに民間が実証を行い、サービスを利用できるための環境を整備する。

現在は実証にあたって民間からテーマを提出し、QZSS測位信号の受信機をSPACから貸与するという手順を踏んでいるが、企業が望む開発タイミングに合わないこともある。そこでユーザーが購入できる受信機開発の明確化が必要としている。また、事業化を前提にQZSS利用実証を行うため、実証実験の内容を非公開と希望する企業も現れてきている。今後はそうした要望にも対応していくとのことだ。

QBIC発足から今年11月のQZSSサービス内容に関する政府への第一次要望提出まで時間はそれほど多くない。WG4グループはすぐにでも議論に入り、11月と来年3月のとりまとめに向けて議論を始める予定だ。

《秋山 文野》

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