マレーシアン・インサイダーによると、マレーシアの野党連合・人民同盟(PR)のリーダーを務めるアンワル・イブラヒム元副首相(人民正義党=PKR顧問)は、総選挙後に与党連合・国民戦線(BN)を率いるナジブ・ラザク首相から与野党連立政権の可能性について打診を受けたことを明らかにした。
アンワル氏は「アジア・センティネル」のインタビューの中で、ナジブ首相が統一マレー国民組織(UMNO)機関紙である「ウトゥサン」が、華人やインド系マレーシア人のコミュニティを批判する論調の記事を掲載した件に触れ、こうしたことを止める必要があると指摘したことを公表。ナジブ首相は国内の民族間の軋轢を解消すべきとの考えを示したという。
これに対しアンワル氏は、根本的な問題の処理、民族間対立の終結、改革に向けた明確な理解と約束を得ることが先決だと回答した。しかしナジブ首相からはその後、何ら回答がなかったという。
5月に行われた総選挙を前に、インドネシアのユスフ・カラ元副大統領が仲介し、ナジブ首相とアンワル氏が与野党どちらが勝利してもその結果を受け入れるとの紳士協定を結んでいたことが明らかになったが、結果的には選挙が公正に行われたか疑わしいとしてアンワル氏が密約を破棄したとされる。
ナジブ首相がアンワル氏に連立政権を打診した理由について「アジア・センティネル」は、議席を減らしたBNの弱体化の懸念から野党に和議を求める空気がUMNO幹部の間に広がっていることに加え、ナジブ氏批判を公然と行なっているマハティール元首相を牽制する意図があると分析している。