西オーストラリア州のガス・ハブに厳しい司法判断

エマージング・マーケット オセアニア

州最高裁が「違法な認可があった」

 8月19日、西オーストラリア州最高裁のウエイン・マーチン首席判事が、キンバリー地域のガス・ハブに対する環境認可の一部が違法だったとの判決を下した。

 同州ブルーム北方ジェームズ・プライス・ポイントの大規模な液化天然ガス・プラントは400億ドルの予算で計画され、沖合のガス井からパイプでガスをこのプラントに送り液化した後、港から輸出するガス・ハブになる予定だった。同地区にはアボリジニの遺跡が数多く残っており、また沖合にはクジラ類の繁殖地があることから、環境保護団体の反対運動だけでなく、地元アボリジニ・コミュニティが賛否で半分に割れて争った。しかし、この日の判決では、「同州環境保護庁(EPA)がプロジェクトに与えた認可の3件が違法であり、したがって無効である」との判断が明らかにされた。

 EPAでは5人の審議委員のうち4人までが「利害の抵触」を宣言するという異常さで、残る1人のポール・ボーゲル委員長が単独でプロジェクト認可の最終決定を行った。しかも、ボーゲル博士は、「利害の抵触」を宣言した4人のうち3人を認可決定審理手続きに参加させていた。マーチン首席判事は、3人が参加した審理での決定をすべて無効と判断した。

 州最高裁への提訴は、ウイルダネス・ソサエティと立地の伝統的所有者の一人、リチャード・ハンター氏がEPAと州環境相を相手に起こしていたもので、ジェームズ・プライス・ポイントにガス・ハブを建設する計画を建てていたエネルギー企業ウッドサイド社はその後、コスト膨張を理由に計画を中止し、現在はボウエン海底ガス田の海面に浮体方式の液化天然ガスプラントを計画している。しかし、原告は認可責任者の責任を問うため訴訟を続けていた。ウイルダネス・ソサエティでは、「ボーゲル博士と認可当時の環境相ビル・マーミオン議員を関係要職から外すよう州政府に要求している。当時、認可が違法と判決される可能性が大臣にも諮問されていたにもかかわらず大臣はこれを無視した」と発表している。しかし、コリン・バーネット州首相は、「EPAの委員も委員長も不正行為をしていない」と語っているが、ソサエティは、「5人の委員のうち4人が利害抵触で審理から退いた段階で他の者を任命すべきであり、たった1人で決定したことがすでに不正な行為だ」としている。アルバート・ジェイコブ現環境相が政府顧問弁護士事務所の答申を求めると語った。(NP)

WA州のガス・ハブに厳しい判断

《 Nichigo Press 》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. ヴェゼルの正解ホイールはこれだ!RAYS『HOMURA & RSS』の最新“純正適合ホイール”を一気見PR
  2. トヨタ『ライズ』、5色のカラフルなフルーツテーマで登場…土曜ニュースランキング
  3. トヨタ『GRカローラ』に2026年型、米国は2グレード展開で今秋発売へ
  4. 【スバル フォレスター 新型試乗】日本車の目覚しい進歩に舌を巻く…中村孝仁
  5. レクサス『LS』現行型、最終モデル「ヘリテージエディション」米国発表…250台限定
  6. スバル『BRZ』、2026年モデルを米国発表…価格据え置きで2026年初頭発売へ
  7. 「思いの外セクシー」普通二輪で乗れるロイヤルエンフィールドの新型クラシックモデルに、SNSでは興奮の声
  8. 【ヤマハ YZF-R25 新型】人気の理由は「映えるデザイン」にあり! 進化する「Rの血統」とは
  9. マツダ、新型電動SUV『EZ-60』を中国発売…約250万円から
  10. マツダ『ロードスター』1万8491台をリコール…最悪の場合、火災のおそれ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る