JAXA 超音速試験機『D-SEND#2』第1回試験機が予定経路から外れた経緯を調査中、第2回試験は延期

航空 テクノロジー
D-SEND#2試験機の機体が下降した際の姿勢について説明するJAXA 航空本部 D-SEND プロジェクトチーム 吉田憲司プロジェクトマネージャ
D-SEND#2試験機の機体が下降した際の姿勢について説明するJAXA 航空本部 D-SEND プロジェクトチーム 吉田憲司プロジェクトマネージャ 全 2 枚 拡大写真

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト『D-SEND#2』1回目の試験が予定の飛行経路から外れた結果について発表を行った。8月24日に予定されていた第2回試験は調査中のため延期となる。

D-SEND#2は、将来の超音速旅客機でソニックブームを低減するための研究プロジェクト。8月16日には、スウェーデン、エスレンジ試験場にて気球を放球し、高度30kmから試験機を地上に向けて分離して、飛行中の機体先端、および後端から発生するソニックブームが低減できるかどうか試験を行った。この第1回試験中に異常飛行が発生。高度29.6kmの高度から機体を分離して37秒後に姿勢を引き起こした直後に機軸に対するロール運動が始まった。分離から62秒後にはロール運動を制御できない状態となった。分離170秒後にはいったん姿勢が回復し滑空したものの、高度が低下していたため安全管理上の手順に従って地上局からの投棄コマンドを送信。分離220秒後に機体は予定計測地点の8km手前に落下した。

JAXA 航空本部 D-SEND プロジェクトチーム 吉田憲司プロジェクトマネージャによれば、試験機にはロール運動を制御するための機能を備えており、実験中に機体から送信される情報では、正常に動作していた。 落下後に回収した機体の状態では、主翼が千切れたといった損傷も見られないという。現在、JAXA航空本部事業推進部長をチーム長とした調査対策チームが異常飛行の原因を調査中だが、予定していた第2回試験は原因判明まで延期する。試験場は冬季は利用できないため、来年3月以降に早急に実験を再開したいとしている。

D-SEND#2ミッションでは、ソニックブーム低減を目的として設計した超音速試験機を2回飛行させ発生する音を計測してその効果を実証する予定だった。試験機Sキューブ・コンセプトモデルは全長約8m、質量約1000kg。機体を気球で吊り下げて高度30kmで分離、マッハ1.3、50度の角度で計測機を設置した地上に向かってダイブ飛行させる予定となっていた。

《秋山 文野》

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