モンゴル女性殺害、控訴審で逆転無罪判決 ネット上では判決に批判の声 マレーシア

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マレーシアの政界を巻き込むスキャンダルに発展したモンゴル人女性殺害事件の控訴審判決が8月23日にプトラジャヤの控訴裁判所であり、控訴裁は実行犯とされる警察官2人に対して出された高裁の死刑判決を破棄し、両被告を無罪とする逆転判決を下した。

ニュー・ストレーツ・タイムズなどが報じた。

重要証人が呼ばれないなどの裁判手続きの不審な点を指摘する声がネット上で上がっており、野党などが「検察・弁護側双方による出来レース」として追求を強めている。

同事件は、2006年10月にモンゴル人のアルタントゥヤ・シャアリブさん(享年28)がクアラルンプール郊外の密林で射殺された上に証拠隠滅のために死体を爆破された異常な状態で発見されたもの。政府高官のボディガードを務めていた警察官2人、アジラー・ハドリ被告とシルル・アザル被告が殺人罪、ナジブ・ラザク首相(当時、副首相)の元側近で政治アナリストのアブドル・ラザク・バギンダ被告が殺人教唆罪で起訴された。アブドル・ラザク被告には2008年10月に証拠不十分を理由に無罪判決が出たが、実行犯の2人に対しては2009年に有罪判決がおりていた。

控訴裁は、アブドル・ラザク元被告の宣誓供述書の信憑性を証明できる唯一の証人とされる、ナジブ首相の元側近のムサ・サフリ氏を検察側が召喚しなかったこと、遺体を爆破した爆薬の入手方法が不明なことなどを理由に証拠不十分と判断したとしている。アブドル・ガニ司法長官は、連邦裁判所に上告する方針を示した。

検察側が描いた筋書きは、アブドル・ラザク元被告は、アルタントゥヤさんと不倫関係にあったことをネタにアルタントゥヤさんから脅迫され、警察官を使ってアルタントゥヤさんに殺害を命じたというものだったが、一部ではナジブ首相やロスマー・マンソール首相夫人も関与していたとの噂も囁かれていた。

伊藤 祐介

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