【フォード クーガ 試乗】細部まで旧態を許さない、スマートなクルマ…家村浩明

試乗記 輸入車
フォード クーガ「タイタニアム」
フォード クーガ「タイタニアム」 全 12 枚 拡大写真

いまフォードは世界中で“ひとつのフォード”(One Ford)をマーケットに問うというグローバル戦略を展開中。その第一弾が新『フォーカス』で、VW『ゴルフ』などが属するセグメントへのフォードからの回答だった。

【画像全12枚】

そして『クーガ』は、ミドルサイズSUVと分類されるカテゴリーに投入された新型で、プラットフォームは基本的にフォーカスと共通だ。

ちょっとおもしろいのは、このクーガは「SUV」と称しつつ、それに「スマート・ユーティリティ・ビークル」という語を宛てていること。本来の米語(クルマ用語)では、商用車やトラックではありません、乗用車として使える新タイプのクルマですよという意味で「スポーツ・ユーティリティ…」であったはずだが、クーガでは、いくつかのインテリジェントな機構や装備があるという意味をこめてか「スマート」としている。

そのスマート機能のひとつは、手を使わずにテールゲートを開けられることだろう。これは、クルマの後方からゲート下に軽く“蹴りを入れる”ようにして足を突っ込むと、それをセンサーが検知してゲートが開く。ただ、開いたらすぐにクルマから少し離れないと、人がいるので開けては危険かもしれないとシステムがふたたび判断して、自動オープンをやめてしまうので、この点は若干の慣れとコツが必要だ。

走りの面では、インテリジェントAWD(4WD)として、前後輪へのトルクが自動配分される“スマート”もある。これは前後だが、左右のコントロールとしては、コーナリング時に回頭性を高めるため、左右の車輪に配分するトルクを制御している。(トルク・ベクタリングと呼んでいる)

デザイン&スタイリングは“脱SUV”というか、新世代のボクシータイプ・クロスオーバー車として“土の匂い”をうまく消している。流麗なラインによる細部の造型もあって、どんな背景にも似合うような雰囲気を醸し出している。

乗り込むと、まずはたっぷりサイズのシートと、その密着感がいい感じでドライバーを包む。細かい部分では、エアコンの吹き出し口が上下分割になっていることに注目した。一つの吹き出し口の中で、上半分と下半分をそれぞれ独自に風向きを設定することができるという気配り設計で、こうしたSUVタイプのように室内のキャパシティが(上下方向に)大きい場合には、この分割は有効であると考える。クルマのカタチがセダンからワゴン&SUV方向に変化しつつある今日、エアコンの吹き出し口も旧態のままであってはならないというフォードの提案に拍手を贈りたい。

走ってすぐに気づくのは、低速域での乗り心地がマイルドなこと。“世界で一つ”のフォードということは、モータリゼーションが高速でない地域のことも考慮された足の設定になっているとも解釈でき、この点はフォーカスとともに高水準と評価できる。

ただ、フォーカスよりも車重があって、そして車体に対してはエンジンが“小さい”キライはあり、どうしてもアクセルを深く踏んでの、ターボも効かせての走行となりがち。過給のオン・オフが感じ取れるのは、走りにおいてはややリニア感を損ねるが、これはあくまでも、フォーカスのウェル・バランスの走りと較べると…ということ。多用途車としては、流しても攻めても、乗り心地も含めて、走りはよくまとまっているクルマだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

家村浩明|ライター&自動車ジャーナーリスト
1947年、長崎生まれ。カー雑誌やムックなどの編集を経て、1983年頃よりクルマ関連を中心に執筆活動をはじめる。クルマは“時代を映す鏡”として興味深いというのが持論で、歴史や新型車、モータースポーツとその関心は広い。市販車では、近年の「パッケージング」の変化に大いに注目。
日本メーカーが日常使用のための自動車について、そのカタチ、人とクルマの関わりや“接触面”を新しくして、世界に提案していると捉えている。

《家村浩明》

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