アメリカ出撃間近、豪は慎重の構え
米主導の国連決議による諸国軍がアフガニスタンに侵入する直前、参戦の可能性を問われたジョン・ハワード連邦首相は、「そんな仮説の質問には答えられない」と答えたが、アメリカの要請には連邦議会にも諮らず、閣議で参戦を決めた。米英豪3国軍のイラク侵入も同じように閣議決定だった。
しかし、アフガニスタンもイラクも西側諸国の軍隊が引き揚げれば直ちにエジプトやシリアのような内乱に引き戻される可能性が大きく、西側諸国国民は嫌気をさしている。児童の人口比率が高いシリアでは大統領派と反大統領派の内戦で児童の犠牲が大きく、さらに毒ガス兵器まで使われた可能性があることから介入を求める声も高いが同時にどの国も軍隊を送ることはためらっている。
8月27日には、ケビン・ラッド連邦首相が、バラク・オバマ米大統領と電話でシリア問題を話し合ったと発表されている。また、豪国防軍幹部が米軍幹部と密接な情報交換を続けていると報道されている。一方、シリアでは毒ガス兵器の疑いについては国連の調査委員会がダマスカスの現場に入って調査しているが、初日に狙撃され、人命に害はなかったものの、UNの白自動車が破損するなどしており、調査が妨害されている。
地中海のアメリカ軍はホワイトハウスから指令があれば、いつでもアサド大統領政権を軍事攻撃する準備を済ませている。27日、ロウイー・インスティチュートでの基調縁説でラッド首相は、「化学兵器が使われたことは明らかで、大勢の非戦闘員が殺害された。このまま見過ごせば、バルカン戦争期にボスニア・ヘルツェゴビナの男性市民が国連軍の目の前でセルビア・ナショナリスト民兵に連行され、大量虐殺された事件や、ルワンダの大量虐殺を繰り返すことになる。人道に対する犯罪に国際社会が行動を起こすべき時だ」と語っている。(NP)