日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)は12月16日、「JIDAデザインミュージアムセレクション vol.27」を実施し、ゴールドセレクション5点を含む計59点の製品を選定した。自動車業界からは唯一、ホンダの新型『フリード エアー』『フリードクロスター』が選ばれた。
JIDAデザインミュージアムセレクションは1998年から始まり、今年で27回目を迎える。国内で流通する製品の中から、社会的に影響を与えたものや革新的な機能・造形を持つものなど、優れたインダストリアルデザインを選定している。選定はJIDA会員だけでなく一般からの推薦も含まれ、優れたデザインを幅広い価値観から見据え、文化的資源として次世代に伝える取り組みとなっている。
今回は2025年7月1日から8月17日の期間に354件の推薦を募り、審査委員による事前投票と8月30日の審査会、10月14日の特別審査会を経て選定された。選定製品の一部は「JIDAデザインミュージアム」に収蔵・保管されており、その数は1300点余りに達している。
新型フリードは、先代モデルで好評だった取り回しのしやすいボディサイズを維持するため、2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」搭載による全長の拡大を45mmに留めた。1列目のシート形状を工夫し、ウォークスルーで2列目シートへのアクセス性を向上するなど、さらに使い勝手を高めている。
インホイールメーターの採用などにより、水平基調でノイズレスなダッシュボードを実現し、すっきりとした前方視界を提供する。ベルトラインを水平基調とするとともに、前方から側面を連続性のある視界とし、3列目席ではリアクォーターウインドウを四角基調に変更して先代モデルよりも窓の面積を拡大するなど、全席で明るく開放感を感じることのできる空間を目指した。
フロントピラーの付け根をタイヤの真上に配置することで、タイヤの位置がイメージしやすく、車幅がつかみやすいデザインとした。またフロントピラーの一本化やドアミラーの位置の変更により、斜め前方の視界をより向上させ歩行者を認識しやすくするなど、運転時におけるさらなる安心感を提供することを目指した。
3列目シートは、座り心地の良さはそのままに、シート構造部の軽量化と薄型化を実現。また、シート跳ね上げ時の固定位置を低く、ほぼ垂直とすることで、荷室への張り出し量を最小限とし、畳んだ際のシート間の距離を現行より約160mm拡大した。荷室の使いやすさと自由度がより向上している。
デザインは、生活スタイルに合わせてお選びいただけるよう、上質で洗練されたシンプルなデザインの「フリード エアー」、力強く遊び心に溢れるデザインの「フリードクロスター」の2タイプを設定し、それぞれの個性をより際立たせた。
エクステリアは、クルマ全体をシンプルな造形かつ上質なデザインとするとともに、信頼感とクルマとしての使い勝手の良さを感じさせるスタイリングを目指した。フロントは、ヘッドライトやフロントグリルのシャープな造形により、凛とした表情を創出し、親しみやすさと所有する誇りを表現した。
サイドは、ヘッドライトからキャラクターライン、リアライセンスガーニッシュまで、繋がりのある水平基調のラインで構成するとともに、高度なプレス技術によるシャープなキャラクターラインの造形を用いることで、シンプルでありながらクオリティの高さを感じさせるデザインとした。
リアは、安定感がありスタンスの良い台形のフォルムや、先代モデルより低い位置に縦基調に配置したリアコンビネーションランプなどにより、走りの良さや広い室内空間を外観からイメージできるデザインを目指した。
フリードクロスターは、フリードエアーで作り上げた信頼感のあるデザインをベースに、クロスター専用のブラックのフロントバンパーやホイールアーチプロテクター、サイドシルガーニッシュ、また、高輝度シルバーの専用フロントグリル、リアロアガーニッシュ、ルーフレールなど、さまざまな専用装備を採用することで、フリードのもつ個性を生かしながらもアクティブな活動を後押しする力強さを表現している。
インテリアは、視覚的ノイズの少ないシンプルな構成とし、ストレスなく操作ができ、使う人がゆったりとした気持ちになれる空間を目指した。7インチTFT液晶メーターは、速度や現在時刻など、必要最小限の情報に絞り込んだシンプルな表示とし、見やすさとわかりやすさを追求した。
またセンターパネルは、運転に関する操作スイッチと空調などのスイッチを左右でゾーニングして配置することで、運転時も直感的にスイッチ類を操作できるようにした。




