6月に古屋圭司国家公安委員長が交通取締りの見直し発言を行ったことで発足した懇談会の第一回の内容が公表され、その方向性が見えてきた。
「交通事故に抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する懇談会」は第1回の意見集約後に、テーマ別にワーキンググループを作って議論を重ねている。
宇都宮大学大学院の森本章倫工学研究科教授を幹事とし、元F1レーシングドライバーの中嶋悟氏も参加する「取締まりワーキンググループ」の第一回会合(8月26日開催)では、速度取締りの現状と交通事故の関係について、審議された。
警察庁交通局は、全国で起きた50ccバイク以上の車両が第一当事者(事故の主原因を作った当事者)となった事故について分析。
最高速度違反を原因とする死亡事故は、17種類の法令違反の中で7番目。突出して多いとはいえないが、車両単独事故(727件)の49.9%を速度超過が占めていることなどを、WGの6人のメンバーに説明した。
2012年度中の速度取締り件数は、交通違反全体の28.35%を占める約222万件。そのうち赤切符の対象となる30km/h~50km/h未満の超過は約28万4000件。約50km/h以上の超過は約2万4000件あった。
取締り方法では、レーダーなどの測定器を使った定置式で摘発される場合が53.1%。パトカーなどによる追尾式は43.6%。オービスによる摘発は3.3%だった。
事故抑制のために最大限効果的な取締りを行う方法として、過去1年以内の交通事故発生状況、事故発生の危険度が高い区間か、暴走行為が多発していないか、住民の要望、そのほかを検討する「定置式速度違反取締りカード」を採用を提案している。
また、幹事の森本教授は、全体として交通取締りが事故を抑制することをデータ分析により示したが、その効果は地域差が大きいため、地域ごとの検証が必要であるなどの研究結果を発表した。