【レクサス IS 試乗】ガソリン車、スポーツ性は評価できるが減税の対象外は残念…松下宏

試乗記 国産車
レクサスIS
レクサスIS 全 23 枚 拡大写真

レクサス『IS』のガソリン車はなかなか微妙な存在だと思う。走る楽しさを追求するなら、ハイブリッド車よりもガソリン車の方が優位に立つが、ISのガソリン車はIS250、IS350とも、燃費が悪いためにエコカー減税の対象になっていないからだ。

今の時代のクルマ選びを考えたら、一定の環境性能を確保することは欠かせない条件であり、その結果としてエコカー減税の適用になるだけの環境性能を持つことが前提になるからだ。ISのクラスで20万~30万円になる減税の“現世利益”も大きい。

制度が始まった当初には非関税障壁呼ばわりされたエコカー減税も、今では欧州車が対応しているのにトヨタ車の対応が遅れるという妙な結果になっている。アイドリングストップ機構を採用するなど、燃費向上のためにすぐにやれる対策はいろいろあるはずだ。

ISのガソリン車は、IS250“バージョンL”と同“Fスポーツ”、IS350“Fスポーツ”に試乗した。印象的だったのは後者で、IS350は8速ATが搭載され、IS350の“Fスポーツ”にはLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリング・システム)が採用されているからだ。

これらの専用の仕様がいろいろと設けられることで、IS350“Fスポーツ”はとてもしっかりした走りを示した。特に峠超えのワインディングを走るときに楽しさが感じられた。

V型6気筒3.5リッターエンジンは相変わらず余裕十分の動力性能を発生し、8速ATと合わせて気持ちの良い加速フィールを味わえる。また“Fスポーツ”専用のLDHが電子制御可変ギア比ステアリングや一種の4WSシステムによって後輪を制御する。

これらによって峠道での回頭性に優れ、キビキビした感じの走りを実現している。気持ち良く向きを変えてコーナーを曲がっていく感じだ。

走りが良いとはいえ価格が高いのは難点。本体価格が595万円で、試乗車にはいろいろなオプションが装着されて約700万円の仕様になっていた。これに税金や諸費用を考えると800万円近い予算が必要になる。これでは簡単には手が出ない。

IS250はそれなりの軽快感を与える部分があるものの、IS350に比べると力不足の感が否めないし、ATも8速ではなく6速になってしまう。またハイブリッドと比べても走りは取り立てて魅力的な印象を受けない。

搭載エンジンがパワフル過ぎる感のあるIS350に比べたら、IS250は自分で操っている実感を得やすいともいえるのだが、積極的に選んだり、お勧めしたりしたくなるようなモデルではない。

乗り心地の硬さはISに共通する課題だ。バージョンL系とFスポーツ系では足回りの仕様に違いがあって、Fスポーツの引き締まった感じの走りはそれなりに魅力だが、いずれにしても路面の悪い部分での乗り心地改善が必要だと思う。

IS250“バージョンL”はIS300h“バージョンL”に比べると58万円も安く、比較的低価格で買えるが、ハイブリッド車にはエコカー減税があって実質的な価格差は約半分になり、燃費の差によって経済的な負担は更に少なくなる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  2. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  3. 旧型Z34『フェアレディZ』用車高調がリニューアル、ブリッツ「DAMPER ZZ-R」シリーズがDSC Plusに対応
  4. リトラと決別した「ワイルド・キャット」、3代目ホンダ『プレリュード』【懐かしのカーカタログ】
  5. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る