【ジャカルタモーターショー13】ホンダ 伊東社長、2016年までのインドネシア四輪車販売30万台に自信…会見一問一答

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バティックに身を包み、記者会見の後、記念写真撮影に応じてくれた
バティックに身を包み、記者会見の後、記念写真撮影に応じてくれた 全 12 枚 拡大写真

ジャカルタモーターショーで、ホンダはアジア市場向け7人乗りMPV『モビリオ』のプロトタイプを発表後、伊東孝伸社長以下、現地法人役員による記者会見を開催した。その一問一答をあらためてまとめた(人名の初出以降は敬称略)。

----:現状7~8万台/年の販売台数から2016年度までに30万台にまで拡販する目標を設定したことについて。

ピー・ティ・ホンダ プロスペクトモーター代表取締役社長 内田知樹氏:これまで200万円以上の高価格帯に商品を投入してきたが、今後はよりマーケットが伸びている200万円を下回る価格帯に商品を投入していく。その第一弾が『ブリオ』であったが、加えてLCGC(ローコストグリーンカー)とモビリオの投入によって台数のかさ上げを狙いたい。さらにホンダには未参入のマーケットもあると見ているので、今後マーケットを広げて30万台の目標をやりきりたい。

----:インドネシアで生産した車両の輸出について。

アジア・大洋州本部長兼アジアホンダ モーターカンパニー・リミテッド取締役社長 小林浩氏:現在はインドネシアで作ったフリードをタイとマレーシアに輸出しているが、ASEANはどの国も政策としてクルマの輸出を推してきている事情もあるため、いずれその方向になっていく。ただ、インドネシアの強み、将来のポテンシャルを踏まえると、パーツやコンポーネントの供給基地として発展できるのではないかと見ている。

----:ホンダとしてインドネシア市場の位置付けは、この5年でどう変わったのか。すでにインドネシアで成長しているLMPV(ローマルチパーパスビークル)市場に今参入するのは何故か。

本田技研工業代表取締役社長 伊東孝伸氏:ホンダにとってインドネシアは一番重要なマーケットであることは間違いない。そのためにここ3~4年、ずっと一生懸命、様々な技術開発、体制を整えてきてようやくインドネシア用に開発したモビリオが出せたことは記念すべきこと。それは、それだけインドネシアのマーケットは大きく、将来性のあるマーケットであることを認識しているから。(インドネシアにおいて)二輪の世界ではものすごい大きなビジネスが育っており、この国の製造能力の高さ、部品も働く人の勤勉さも含め、生産拠点として納得している。四輪車でも大きな生産拠点になり得ると確信しているからこそ、大きな市場に向けて(モビリオという)専用車で参入しようとなった。

----:二輪から四輪に軸足を移していくのか。

伊東:いや、(インドネシアでは)二輪はまだまだ成長する。二輪は二輪として、四輪は四輪としてそれぞれお客様を大事にしていく。その間、ホンダとしてのブランドイメージを高め、2016年までには30万台の目標達成を実現したい。

----:シェアでは10%達成という目標の意味は、市場が300万台にまで成長したときのことなのか、それともそこまで伸びなくても30万台を実現しようとしているのか。

内田:シェア10%で30万台を達成できるとは思っていない。シェアは後から付いてくるものと思っている。

伊東:(シェア10%は)我々がインドネシアでできる最大限の努力を払うこと指している。シェア何十%というのではなくて、今、手が打てるいろんなことや今後の努力部分も含め、それぐらいまで行って欲しいということだ。工場の生産能力を踏まえてもシェア10%の目標には届かない。だから何とかするしかない。今回の車種投入はそれを実現するための、量販価格帯に入っていく第一歩になる。

----:LCGCにおいて他社との違いは?二輪車で培ったブランドイメージをどう四輪に反映させるか?

伊東:我々のブランドイメージは、インドネシアでこれだけ二輪車で浸透してることもあって非常に高い。四輪車でも比較的高いクルマが売れてきた。インドネシアの人たちに信頼され、憧れを持って受け取られている気持ちを大事にしながらも、徐々に四輪車の方も多くのお客様にクルマを売っていきたい。走る楽しさも味わえるクルマとしてLMPVであるモビリオ、LCGCである『ブリオ・サティヤ』を投入する。格好良くてよく走って便利であるという点を大事にしていこう。他社では(全長を)4m内に収めたという話はあるかもしれないが、30cmプラスしたことでホントに3列目がゆったり座れ、なおかつエアコンもその席まで十分届く。7人乗っても気持ち良く走れる多人数乗りのベストカーを目指し、評価されるクルマを狙って投入した。

----:LCGCの投入が1年近く遅れたことはホンダにとってどんな影響を与えたのか。ローンの頭金規制(※消費者がローンを組む際の頭金比率を高めるため、下限を20~30%に制限する)があったが、現在はどんな状況になっているか。

内田:LCGCの発表が遅れたことで影響があったのは事実。ただ、政策が実施された時期とそれほど大きなズレはないので、他社に比べて大きな痛手になってはいない。ローンの頭金規制は昨年の6月に始まったものだが、二輪では影響があったものの、四輪全般では今のところそれほど大きな影響は出ていない。ただ、今後LCGCの販売比率が高まっていくと影響が出てくる可能性はある。

----:タイでの洪水等に見られるように、東南アジア地域でのリスク分散についてどう対応していくのか。

小林:ホンダにとってタイは一番大きなマーケットだったが、インドネシアがこれだけ大きくなってきて、マレーシアもASEANの中では成長している。以前はタイをベースに展開すれば商売が成り立つと見ていたが、各国のマーケットがそれぞれ大きくなってくるとそれぞれ自国での生産や輸出に対するリクエストが当然出てくる。各国で完結していくオペレーションをし、その中で部品をやり取りする。これが結果としてリスク分散につながっているので、バランスが取りやすくなった。

伊東:リスク分散を目的にインドネシアを考えているのでは絶対ない。インドネシアのマーケットが魅力的なマーケットであり、なおかつ製造拠点に適していて、その結果がリスク分散に対しても手が受ける体制になる。そういう順番だ。

----:東南アジアの景気動向はどうなっているか。また、インドネシアへの工場建設など過大投資という見方に対しては?

小林:タイは今年に入ってかなり減速感が出ている。バックオーダーに対しても日伸ばしして調整する比率が徐々に高まっている。タイは好景気の反動が出ると予測していたので、3年ぐらいは反動のあおりがあると見ている。インドネシアは国としての為替が厳しかったり、金利が高かったりとの問題はあるが、比較的内需は二輪も含め順調。国として経済にやや不安があるものの、経済が回っている間は大丈夫だろう。マレーシアは今年の4月に総選挙があって、その前で停滞気味だったが、ここへ来て状況か改善している。フィリピンもマクロはいいけれどまぁまぁ。東南アジアは山あり谷ありではあるものの、比較的底堅いと見ている。

小林:過大投資か、という見方については当然そうは思っていない。未参入のところに入って販売台数を上げていこうという目論見がある。LMPVの市場は大きく、モビリオもそこそこの台数は出るはず。商売である以上、当たるかどうかはわからない。しかし、ギャンブルをやっているつもりはない。

伊東:我々が持っていたボリュームゾーンよりも下側に商売を広げていこうというわけで、とくに新興国でモータリゼーションが始まれば、スピードは減速はしても落ちることはない。そこを支える大衆に向けた方向性で活動を行っているので、自信を持って臨んでいる。それは継続性を持って市場が支えてくれると思っている。

----:日本ではなくなってしまった「モビリオ」という名称に対するこだわりは?

小林:日本ではモビリオをなくしたのではなく、発展的にさらにいいクルマにしようと『フリード』が出た。その話と今回のモビリオはあまり関係がない。

内田:インドネシアでもいくつか候補があった。国内で聞いて一番人気がモビリオだった。

伊東:日本でモビリオが登場した時、こんな使い方があるのかと驚きを持って迎えられたが、インドネシアにおいても同じような意味合いがある。

----:インドネシアにおいて販売台数は伸びているものの、一台あたりの利益率は上がっているのか。

伊東:二輪で年間450万台を生産しているが、本当にインドネシアに根ざして国内の材料を使い、インドネシアの人が作って、本田技研にとってはものすごい収益、ビジネスに貢献している。タイの大洪水でも支えたのはインドネシアの二輪であった。それと同じように四輪も現地調達率を高めて、現地の材料をもっともっと使っていくようになれば間違いなく安定的にマーケットが成り立っていくと思っている。製造業として自信を持っているし、現状と3年前と比較しても(利益率は)ものすごく改善している。

小林:インドネシアではアッパークラスの車種で商売してきたため、収益率はとても高かった。今後、LCGCをはじめとする拡販ゾーンに合わせると売価は下がる。それに対してここ2年ぐらいで現地調達率を高める体制が増強されたこともあり、高い利益率は確保していくのは我々のチャレンジでもある。二輪の部品を作っていたメーカーが四輪用も手掛けてシナジー効果は上がっている。

《会田肇》

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