【池原照雄の単眼複眼】消費税率引き上げ、駆け込み需要対策“待ったなし”

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エコカー免税車が47%という現実

2014年度からの消費税率引き上げが決まった。政府はこれに伴う5兆円規模の経済対策を12月上旬に策定する。対策には「車体課税の見直し」も盛り込まれる。注目される新車の駆け込み需要の度合いは、その内容にもよる。ただ、現在のエコカー減税の適用状況を勘案すれば、新車購入予定者は、直ちに今年度内の購入に向けた行動に向かうことになろう。

駆け込み需要に影響するエコカー減税は、このところほぼ8割のモデルに適用されている。日本自動車工業会の今年度4~7月の同減税に関するデータによると、車両総重量2.5トン以下の自動車(乗用車を中心に一部商用車とバスを含む)のうち、79%が新車購入時に減税の対象となった。

しかも、販売されたこのクラスの新車全体の47%が免税の対象となっているのだ。免税車であるハイブリッド車(HV)の人気や、新車の4割強を占める軽自動車の多くが高い燃費性能によって免税に合致していることが大きい。

免税車には消費税3%の確実な増税

このエコカー減税制度で免税となるのは、新車購入時の自動車取得税(以下=取得税)と自動車重量税(以下=重量税)である。重量税については新車購入から3年後の車検時にも半額に軽減されている。

今回の駆け込み需要は、この免税となるクルマから顕著に現れることになる。来年度の消費税率3%分の引き上げに伴い、仮に新車購入時の取得税の税率が現行の5%から2%に軽減されたとしても、そもそも免税となっている対象車には関係ないことである。消費税率が5%から8%になった差額、つまり3%分が免税対象車には新車購入時の「確実な増税」となるのである。

税抜き価格200万円のクルマなら3%で6万円。モデル末期のクルマだと、値引きの範囲かもしれない。ただ、それなりの装備が買える金額でもある。ちなみに、ホンダの新型『フィット』だと、自動ブレーキとサイドカーテンエアバッグなどの「あんしんパッケージ」のメーカーオプション価格がちょうど6万円だ。

エコカー減税の拡充も求める自工会

自工会は、14年度税制改正の重点要望として取得税3%の引き下げと、エコカー減税の拡充を掲げている。消費税との2重課税状態になっている取得税の税率を消費税率のアップ分下げるのは当然とし、加えてエコカー減税もさらに広げるよう求めている。消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要とその後の反動減という混乱を軽微にするには、自工会の主張に沿った措置が効果的だ。

つまりエコカー減税のうち、とりわけ車検ごとに課税される重量税の追加的な軽減措置が実現すれば、駆け込み需要への圧力は弱まる可能性がある。ただ、それも内容次第となる。前述のように免税車の場合だと現状の重量税は、新車購入時(初回車検)に免除、3年後の2回目車検時は半額となっている。これを2回目も免除とするなど思い切った措置が講じられないと、インパクトにはならない。

経済対策の詳細が決まる年末まで待ったあげく、失望するような内容だと、困るのは買い換えを検討しているユーザーだ。そのタイミングで購入契約しても、モデルによっては年度内の登録(届け出)が難しいケースも多く出よう。従って、消費税増税の決定を受け、多くのユーザーが今日にも動き出すだろう。消費税増税に伴う駆け込み需要について「いくつかのシナリオをもって対応したい」(トヨタ自動車の佐藤康彦常務役員)としてきた自動車各社も、“需要の波動”への対策が待ったなしとなってきた。

《池原照雄》

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