【インタビュー】音声認識とスマホリンクで他社PNDと一線画す…GARMIN nuvi 2795 開発・検証担当

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いいよねっと 向井淳氏
いいよねっと 向井淳氏 全 6 枚 拡大写真

GARMINが夏モデルとして新規投入したPNDが『nuvi 2795』。

7インチの大型液晶ディスプレイに、3年間のデータ更新が無料の昭文社製地図データ、またGARMINとしては国内初となる音声認識機能「ボイスコマンド」、そしてスマホ連携の「スマートフォンリンク」を取り入れた意欲作だ。

本体にマイクを内蔵し、「ボイスコマンド」と発話すれば音声認識が起動、画面に触れることなく音声だけの操作ができ、住所、電話番号、施設情報など目的地の設定ができる。

GARMINのGPS関連製品で日本仕様の検証を担当する、GARMINの正規代理店いいよねっとの向井淳氏に話を聞いた。

◆売れ筋ミドルクラスの量販モデル

----:今回登場したnuvi 2795は、GARMINのPNDラインナップの中ではどのような位置づけの商品になるのでしょうか。

向井氏(以下敬称略):7インチモデルというところで上位機種の部類にはなりますが、「VICS」等への対応を省いて価格を抑えました。ボイスコマンドやスマートフォンリンクなどの新機能もありますので、オンダッシュナビの代替というところで売れ筋を突いた商品企画になっています。

----:nuvi 2795の特徴は。

向井:やはり、音声認識機能とスマートフォンリンクが入ったことと、またこれまでのnuviからUIを練り直したところになると思います。UIの部分に関しては大きな変化はないのですが、地図の縮尺ボタンが変わったり、スクロール中の画面に周辺施設のカテゴリー検索が出せるようになっていたりと、目玉となる機能はなるべく上の階層に持ってきていますので、より使いやすさに配慮した仕様になっています。

◆発想の転換で使いやすさに配慮したボイスコマンド

----:日本仕様としてローカライズするのに苦労したところはありますか?

向井:一番は、ボイスコマンド機能ですね、この機能はアメリカを始め各国に導入されているので、そのまま日本にも持ってきています。苦労したのは、言い換え語に対応させることでした、例えば「マクドナルド」を検索する場合、ユーザーによっては「マック」、「マクド」など様々な呼び方があるので、結構細かくなってしまって、どれをどこまで入れればいいのか悩みましたね。

----:言い換え語はどれくらいの数になりましたか?

向井:およそ1000ぐらいありました。他の国で出しているモデルでは、言い換え語をサポートしていないのですが、日本仕様にはどうしても入れてほしいということで、開発チームに依頼を出しました。音声認識の部分の開発は3カ月位で対応しなければならなかったのですが、限られた時間の中でどこまでやれるのか、というよりも“やるしかない”という思いで取り組みました。

----:「ボイスコマンド」と発話することで、ボイスコマンド機能が立ち上がるのはユニークですが、非常に便利ですね。発想の転換だと思いました。

向井:いかに音声認識を使いやすいものにするか、というのは重要なテーマでした。車載機の音声認識機能では、発話スイッチや外付けマイクの配線があったりして、実装が難しくなる部分です。ですがnuvi 2795では本体内蔵のマイクながら、走行ノイズの発生する車内で使っても認識率は相当高いです。スムーズで使いやすいと思っています。

ボイスコマンド機能はどういうコマンドがあるのか、ユーザーからすると解りにくい部分があるかと思いますが、GARMINでは音声認識を起動させるとコマンド一覧がまず大きく表示されるので使い方で迷う部分はいっさいありません。まずは、お気に入りのポイントを登録して読み上げてみるだけでも、この機能に親しんでもらえると思いますので、ぜひ試してもらいたいですね。

◆Google MapsアプリからワンタッチでPNDに目的地転送

----:もう一つの新しい機能、“スマートフォンリンク”はどのような利用シーンを想定したものでしょうか?

向井:これまでもGoogle Mapsで検索した目的地をnuviに転送する機能はあったのですが、パソコンとPND本体をUSBケーブルでつないで転送せねばなりませんでした。またBluetooth対応携帯電話のDUN(Dial-up Networking Profile)を介して通信をおこない、PND上でGoogle Mapsを検索する機能を用意したモデルもありましたが、設定などもかなり煩雑でした。

----:その反省が活かされた、と。

向井:今回用意したスマートフォンリンクでは、GARMINがAndroidスマートフォン向けに提供するアプリをインストールしてさえいれば、モバイルGoogle Mapsでスポットを探し、そのままnuviにデータ転送することが可能です。Bluetoothのペアリングは必要ですが、ふだん使い慣れているGoogle MapsをからスポットをそのままPNDに送れるので使いやすさという点では格段に向上しています。現状、Androidでしか対応していないのですが、iOS向けにも今後対応できるように取り組んでいきたいと考えています。

◆高画質とリーズナブルな価格で好評博すGPSドラレコ

----:先頃新しく登場したフロント/リアカメラ同梱のドライブレコーダー「GDR35D」についても話をお聞かせて下さい。

向井:GDR35Dは、フロントカメラのみの使用なら1080pのフルHD録画、リア/フロント同時使用でも720pのHD動画の同時収録が可能というハイエンドクラスのドライブレコーダーです。一部カー用品店向けにフロントカメラだけの「GDR32」というモデルも出していますが、仕様としてはリアカメラがない以外は同じです。お客様からは、画質面で高い評価をいただいているようで、こちらが想定した以上の売れ行きで私どもとしても嬉しい驚きです。

日本導入に際しては、家に帰ってきてから旅の記録を振り返るように、静止画の撮影機能を実装してもらうように開発チームにリクエストしました。日本導入に向けての作業も4月の下旬から始まって約1カ月弱と短期間でしたが、検証作業においてほとんど不具合がなく早めの市場投入が実現できました。

----:今後の展開についてはどのようにお考えでしょうか。

向井:スマートフォンリンクとボイスコマンド機能については、今後出す製品にも展開していきたいですね。ボイスコマンドについては、言い換え語をさらに拡充して使いやすさを向上したいです。また、現状は目的地検索が中心ですが、今後はさまざまな操作をボイスコマンドでサポートしていければと思います。音声認識はPNDではGARMIN独自の機能で、利便性も高いので前面に打ち出していきたいです。

《聞き手 北島友和》

《》

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