タント新型にみる、極限の商品力と税制問題

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ダイハツ タント 発表会
ダイハツ タント 発表会 全 30 枚 拡大写真
軽自動車市場が一段と活況を呈している。10月3日にはダイハツ工業が3代目の『タント』を発売、軽自動車のなかで中核市場に育った「モアスペース(=スーパーハイトワゴン)」分野での競合も熱を帯びるのが必至だ。

2013年度上期の国内新車市場で軽のシェアは4割を突破したが、今年度は市場規模も7年ぶりの過去最高更新が確実な情勢となってきた。

◆商品力が販売動向に直結

タントの初代モデルは2003年11月に投入されており、ちょうど10年が経過した。車体サイズに制限がある軽で、車室スペースを徹底追及したモデルとして、初代タントはまたたく間に人気を獲得、その後07年にダイハツが軽のシェアで初めてトップに立つ原動力にもなった。

足元では軽のなかでモアスペース分野の比率は31%を占めるに至っている。11年末にホンダが軽のテコ入れ策の第1弾として投入したのも、この分野の『N BOX』だった。たとえば車室スペースを「最大」にしたといった具合に、商品の魅力を訴えやすく、商品力が販売成果に結びつきやすいカテゴリーでもある。

それだけに、タント、N BOXにスズキの『スペーシア』を交えた商品開発競争は激しさを増す。14年初めには「日産・三菱連合」によるモアスペースの新モデルも登場する。3日に“元祖”の3代目モデルを投入したダイハツの三井正則副社長は「登録車のお客様にも評価いただける圧倒的な商品力となった。このタントでダイハツは上向く」と、これを機に軽トップの地位を万全とする構えだ。

◆軽自動車、登録車を遥かに凌ぐ商品力競争の行方

OEM調達組も含め、国内乗用車メーカー8社がすべて参入している軽は、そうした販売パワーだけでなく、商品力の面でもこれまでにない円熟期を迎えている。規格の関係から登録車のようにハイブリッド(HV)システムの搭載には無理があるものの、現状での最高燃費は33.4km/リットル(JC08モード、ダイハツ『ミライース』)と、登録車HVをも上回るレベルに達している。車体を中心とした軽量化のほか、パワートレーンの地道な改良、アイドリングストップやエネルギー回生など、各社がしのぎを削りながら、燃費改善に可能性のある技術ソースを総動員している。

安全技術領域でも低速域からの自動ブレーキシステムやペダルの踏み間違い防止装置などの設定モデルが増加してきた。しかも、軽には欠かせない「低コスト」の要件を満たしながらの技術導入となっている。軽は今後、経済性や扱いやすさから高齢者の移動手段としての役割が増すのは必至であり、そうした安全技術の充実は社会的な要請ともなっていく。

◆軽自動車市況は目まぐるしく変化

13年度上期(4-9月)の軽販売は前年同期を4.2%上回り約102万台になった。年度上期では初めて大台に乗せ、新車販売に占める比率も40.1%と前年から2.3ポイント上昇した。今後は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要も顕在化する見込みであり、今年度は過去最高だった06年度の203万台を上回るのが確実視されている。軽メーカー各社が総力を挙げる商品開発がユーザーに評価され、市場拡大をもたらすという好循環が回っている。

ただ今後は、消費税増税に伴う将来の自動車取得税廃止などにより、軽をめぐる税制の見直しも俎上にのぼる可能性が高い。もっとも、公共交通機関の乏しい地方を中心に、移動手段として、また経済面からも「多くの方の生活を支える足」(ダイハツの三井社長)となっているのが軽だ。つまり軽自動車は、草の根的で強力な国民の支持基盤をもっている。軽にネガティブな施策を講じるのは政治的にも容易ではないという、楽観的な見方もできる。

《池原照雄》

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