日産『キャシュカイ』の新型e-POWER、燃費15%改善でセグメントトップレベルに…独ADACがテスト

第3世代の「e-POWER」を搭載した日産『キャシュカイ』
第3世代の「e-POWER」を搭載した日産『キャシュカイ』全 8 枚

日産自動車の欧州部門は、SUV『キャシュカイ』の新型e-POWER搭載車が、ドイツの自動車消費者団体ADACの燃費テストで5.4l/100km(約18.5km/リットル)を記録したと発表した。

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これは従来モデルと比較して約15%の改善を示し、同セグメントにおいてトップレベルの燃費効率を実現している。

ADACの試験方式は、実際の使用条件を反映するため、実験室試験と動的試験を組み合わせた手法を採用している。

新型e-POWERシステムは、包括的なアップグレードを受けた新開発エンジンを搭載。パワートレイン開発チームは、特に欧州の高速道路における最高時速130kmまでの燃費最適化に注力し、幅広い改善項目を設定した。

これらの技術的取り組みは、効率性と環境性能において顕著な成果をもたらした。排出ガスについては、WLTP試験基準で116g/kmから102g/kmへと12%削減を達成。この優れた性能により、キャシュカイe-POWERは5つ星中4つ星の総合評価を獲得している。

低燃費と55リットルの燃料タンクの組み合わせにより、理論上の航続距離は1018kmに達する。これは1タンクあたり145kmの増加であり、通常はディーゼル車で見られる航続距離という。WLTP基準では1222kmとなる。

ADACは、改良されたe-POWERシステムにより駆動系全体が静粛化したと指摘している。時速130kmでの測定騒音レベルが低下し、日産の測定では5.6dBの騒音低減を実現。これはフルEVと同等のレベルに位置している。

さらに、メンテナンス間隔が1万5000kmから2万kmに延長されたことで、新型e-POWERの顧客は総所有コストの低減も期待できる。

従来のハイブリッドとは異なり、キャシュカイのe-POWERシステムはガソリンエンジンを発電専用に使用し、生成された電力で電気モーターを駆動して車輪を動かす。つまり車輪は電力のみで駆動されるため、瞬時のトルク、スムーズな加速、静粛な走行を実現し、充電の必要もない。

新型e-POWERの5-in-1パワートレインは、電気モーター、発電機、インバーター、増速機、減速機といった主要コンポーネントを、完全に再設計された1.5リットルターボエンジンに統合している。また日産独自のSTARC燃焼コンセプトを採用し、シリンダー内燃焼を安定化させることで熱効率を42%という極めて高い水準に引き上げた。これによりエンジンは低速でもより静かに効率的に作動する。

e-POWERシステムの包括的なアップデートに加え、キャシュカイはグーグル組み込み型インフォテインメント技術の一環として、接続機能も強化されている。グーグルマップ、アシスタント、プレイストアへのアクセスが可能だ。新機能には、グーグルアシスタントによる音声コマンド、グーグルプレイを通じた追加アプリへのアクセス、目的地の天気予報、そしてニッサンコネクトサービスアプリを介してお気に入りの旅を簡単に記録・共有できる日産トリップストーリーズが含まれる。

さらなる技術改善として、プロパイロット運転支援機能の強化により運転知能が向上。改良されたマルチレーン自動運転インターフェースにより、交通監視と周囲環境の認識が向上している。

e-POWERを搭載した最新キャシュカイは、2025年7月にサンダーランドにある日産の工場で生産を開始した。

《森脇稔》

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