「お台場モーターフェス」で電気自動車を組み立てよう…メーカーエンジニアが組み立て研修

エコカー EV
一人乗りEV MODIのPIUS
一人乗りEV MODIのPIUS 全 24 枚 拡大写真

11月23日から開催される東京モーターショーに合わせて臨海副都心エリアで開催される「お台場モーターフェス」では、小中学生・高校生による電気自動車を組み立てて、試乗ができるというイベントが予定されている。

【画像全24枚】

組み立て体験には、自動車工業会の加盟メーカーから、プロのサービスエンジニアが派遣され、指導・サポートを行うので、小学生でも安心して組み立てイベントに参加できるようになっている。その指導を行うスタッフのための組み立て研修が、日本科学未来館にて開催された。

イベントで組み立てる電気自動車は、モディが学校や研究機関向けに開発した、PIUSという一人乗りの車だ。PIUSは、高専・専門学校・大学などでは授業の教材・実習用として、研究室、研究開発ではEVなどの開発ベース車として使うことを想定したキットカーだ。教材や開発用のキットだが、保安部品などもひととおり基準を満たしているので、ナンバーをとることも可能だそうだ(1名乗車のミニカー扱いとなる)。

電気自動車としては、鉛バッテリーを搭載したシンプルなものだが、ステアリング、サスペンション、ブレーキ、アクスルなどは実際の車と同様なつくりになっており、分解と組み立てにより車の構造や機構部分の仕組みを理解できるようになっている。ちなみに、写真を見ればわかるように、フロントサスペンションはダブルウィッシュボーンで、スタビライザーもついている。リアサスペンションはフルトレーリングアームだ。ダンパーはバイク用の流用とのことだがカヤバ製だ。スプリングは可変スプリングとなっている。ブレーキも4輪ディスクとなっており、メーカーはブレンボだ。

バッテリーは12Vのものを3個つないで36Vとしている。モーターはトラック用のセルモーターを電気自動車用に改造したものだそうだ。

スタッフの研修は、手作りの整備マニュアルを各自に渡し、PIUSの開発担当者の説明を受けながら行われた。全員プロの整備士なので、写真入りのマニュアルと大まかな手順の説明で作業そのものは順調に進んだ。しかし、イベント当日は、完成状態から次の組み立てに備えるための分解時間は15分と設定されているそうで、素早く確実に作業をするための細かい手順は、それぞれの経験やノウハウがものいいそうだ。たとえば、ダンパーの装着は、アッパーアーム側から取り付け、ロアアームを広げて押し込むか、先にロアアーム側を固定し、アッパーアーム側をあわせるか、といった点だ(ちなみに、PIUSでは前者のほうが作業しやすかったようだ)。そして、そのときステアリングのタイロッドを外したほうが入りやすい、などを議論しながら作業をしていた。

今回の研修には、トヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車、マツダ、日野自動車の6社から10名が参加した。実際に分解・組み立てを行ってみて、複数のエンジニアが語っていたことは、各部のつくりが実際の車と同じなので、部分ごとの作業も実車の整備とそれほど変わらない。整備の勉強にはよい教材となる。といった感想だ。他にも「子ども向けのイベントに参加するのは初めてだが、けがなどに注意しながら指導していきたい。(トヨタからの参加者)」「ブレーキ部分の分解(ハブとローターの取り外し)は、自分ではまずやらない作業なので、貴重な経験になると思う。(日野自動車からの参加者)」といった意見を聞くことができた。

また、「モーターはエンジンより構造が簡単なので、多くの人が車の構造に興味を持ってくれればうれしい。(ホンダから参加者)」という声があったように、子どもが体験できる組み立てイベントが開催できるのも、電気自動車だからかもしれない。モーターフェス会場では、組み立てと試乗までを1時間程度とし、1日に2グループを5~6回程度のプログラムとして実施される予定だ。入場は無料で、組み立てイベントへは当日申込みが可能だそうだ。プロの整備士の指導も受けられるので、自動車の設計や整備に興味のある人には有意義なイベントになるのではないだろうか。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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