【ITS世界会議13】GPSを使わない自律走行技術…RoboCarに実装し走行デモ

自動車 テクノロジー ITS
SLAMによる自律走行を行うRoboCar PHV
SLAMによる自律走行を行うRoboCar PHV 全 13 枚 拡大写真

今回のITS世界会議は、自動運転がテーマのひとつであるかのように、関連技術の展示やカンファレンスセッションが多い。その自動運転・自律走行を実現するためにGPSは欠かせない技術要素だと思う。

【画像全13枚】

しかし、GPSは高層ビル街では精度が低くなる、トンネル・地下駐車場などでは受信できないという欠点がある。そのため、GPSの位置情報に頼らない自律走行の技術がある。SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)は、GPS情報に頼らず、レーザースキャナーなどによって周辺環境の認識(マッピング)を行い、自分の位置を特定する。

ITS世界会議の屋外展示場で、SLAM技術を、EVや自動運転カーなど次世代自動車の開発ベース車両である「RoboCar PHV」に実装し、走行実験のデモが行われた。SLAMによる自律走行に取り組んでいるのはバージニア工科大学とRoboCarを開発したZMP。それにSLAM技術を提唱しているシドニー大学のGamini Dissanayake博士も協力している。

走行デモは、奥に方向転換をするスペースのあるP字型のコースで行われた。途中に横断歩道があり、歩行者への対応(停止)も実験される。周辺の認識は、前後に取り付けられたレーザースキャナーが道幅やコースの曲がり具合、障害物などを検知する。このデータを基に自車のコースを制御する。レーザー以外にカメラも搭載され、標識、表示、歩行者なども認識される。

RoboCar PHVには、ODB-II端子からのログデータやセンサーデータをクラウドにアップする通信モジュールも搭載されている。クラウド環境にはWindows Azureが利用され、走行中のデータは自動的にクラウドに保存される。クラウドに保存されたデータは、ブラウザを経由してPC・スマートフォン・タブレットで見ることができるようになっている。そのため、ほぼリアルタイムの走行データを、遠隔地でも見たり、分析することも簡単にできる。

走行デモは、SLAM技術の実装がどこまで進んでいるかを紹介するものだが、たとえば、RoboCarをクラウド連携ができる自動車の開発プラットフォームと考え、自律走行の技術やアルゴリズムをアプリケーションと考えると、興味深い可能性が浮かぶ。

自動車という「デバイス」を、メーカーが決めた機能だけでなく、サードパーティが提供するアプリケーションを載せて、拡張、カスタマイズするという使い方だ。現状でも社外品やオプションパーツで車をチューンするという考え方は存在するが、近い将来、ソフトウェアによって自動運転の機能やアクティブセーフティの機能をアドオンすることが可能になる。もちろん、そのためには車というプラットフォームがさらに共通化(とくに制御・センサー・通信部分)されなければならないが、純正の自動運転はトンネル内では機能しないので、SLAM運転をオプションで追加するというような時代がくるかもしれない。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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