アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスの近郊鉄道で10月19日朝(現地時間)、電車が停まりきれずホームに突っ込み、約90人が負傷する事故が発生した。各メディアが報じているが、Youtubeには現地TVによる事故の瞬間の映像がアップされている。
現地の英字紙ブエノスアイレス・ヘラルド(オンライン版)によると、事故があったのは現地時間19日の7時35分。ブエノスアイレス中心部と郊外を結ぶ近郊鉄道・サルミエント線の都心側ターミナル、オンセ駅に到着した電車が停まりきれず、行き止まり式のホームに突っ込んだ。動画では列車がホームに突っ込んで改札口付近まで乗り上げ、周囲の乗客が逃げ惑う様子が映し出されている。
同線では昨年2月22日、今回の事故と同じオンセ駅で列車がホームに突っ込む事故が発生し、50人超が死亡。今年6月13日にはラッシュ時に列車が追突し3人が死亡、300人超が負傷するなど、事故が相次いでいる。
(動画は昨年2月に発生した事故時の監視カメラ画像)
同線はかつて国営だったが、同国政府の鉄道民営化方針により1995年に近隣の近郊鉄道・ミトレ線と合わせ、新たに設立された民間のTBA社が運行を引き継いだ。しかし昨年2月の事故を受け、政府は同社との運行契約を破棄。2012年5月からは他の民営鉄道2社による共同運営組織、UGOMSが運行していたが、今年9月に国営の鉄道運行事業者SOFSEに再び移管されることが発表された。
他のブエノスアイレス近郊路線であるロカ線、サンマルティン線、ベルグラーノ南線も同様に移管が発表されており、民営化された各路線が再度国営化されることになる。
また、政府は車両の老朽化対策として、首都近郊の各路線向けに計約700両の新型車両を中国の車両メーカー、中国南車グループに発注。来年4月には第一陣が納車される見込みとなっている。国による首都の近郊鉄道網への積極的な関与が強まっているようだ。