2013年10月15日から18日にかけて開催された『ITS世界会議 東京2013』において、スバルの先進安全技術を取りまとめる人物に話を聞くことができた。
◆インフラ/車車間など、情報取得の多様化が進む
「私たちが目指すのは自律型です。自分のセンサーでクルマの360度をグルリとセンシングして、回りに何があるのかを把握する。それが自動運転の最初だと考えています」というのはスバルの先進安全プロジェクト・ゼネラル・マネージャーである岩瀬勉氏だ。
ちなみに、トヨタが先だって報道陣に公開した自動運転の公道実証実験では、クルマ事態に搭載したセンサーだけでなく、他車の情報(車車間通信)、さらにカーナビのマップデータも協調利用していた。つまりクルマに搭載するレーダーやカメラの情報だけでなく、通信を積極的に使おうという狙いが見受けられたのだ。センサーから取得できる情報を増やすほど、より精度の高い自動運転が実現できるからだ。
◆まずは自律型を極める
一方、スバルは、「あくまでも基本は自律型である」と主張する。
「車車間通信や地図などのビッグデータを活用するのは、他とつながるということ。しかし、つながることのできないときはどうするのか? と考えたとき、やはり自分でセンシングできることが強いのではと考えています」と岩瀬氏。
もちろんスバルが、車車間通信やマップデータを否定しているわけではない。自律しての自動運転が可能であれば、そこに通信やビッグデータをプラスできれば、さらにレベルの高い自動運転が可能になるという考えなのだ。
ちなみに360度センシングは、アイサイト(カメラ)で対応するのだろうか? と聞くと「そもそも我々は、アイサイトの前に、ステレオカメラとミリ波とのフュージョン(2003年に発表の4代目『レガシィ』に設定された「3.0R ADA」)は経験しています。ですから、全方位をセンシングするのに、カメラを四方に向けるわけではありません。あくまでも費用対効果の良いものを選びます。そこには当然、レーダーも視野に入れています。もちろん前方はアイサイトにこだわります。そして付帯情報として回りをセンシングするということです」という。
◆2014年に投入の次世代アイサイト、さらにその先へ
2014年に投入される第3世代の新型アイサイトはステレオカメラの高度化のみで実現するというもので、まだ360度センシングは実現できていない。しかし、支援領域の拡大、高速道路の限定自動運転を経て、2020年代には全方位衝突回避支援の実用化、そしてさらなる自動運転領域の拡大を目指すという。
アイサイトはその高機能と価格的な魅力によって、スバルのアクティブセーフティを代表する“ブランド”へと成長した。今後ステレオカメラ技術を軸とした予防安全をどのよに他社と差別化して磨きをかけていくか。岩瀬氏の発言には、自社の安全技術への自信とポテンシャルが見て取れた。